2016 Fiscal Year Annual Research Report
エスカレーション型放散仮説の検証:東アジア産陸産貝類を例として
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15J01258
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平野 尚浩 東北大学, 東北アジア研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 捕食 / 被食 / 表現型 / 多様化 / 放散 / 陸産貝類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はベトナム、台湾などにおいて野外調査を実地した。特にベトナムでは、地域ごとで陸産貝類相が大きく異なっており、被食者の貝類に加え、捕食者としての貝類も種多様化していた。野外での個体群密度も非常に高く、石灰岩地域では概ねどの地点でも種数・個体群密度が、非石灰岩地域に比べて高かった。今回確認された陸産貝類種群のうち、殻口内部に突起があるもの、殻の巻きが密になるといった特徴をもつイトカケマイマイ類が特に多様化していた。本種群は被食者として考えられる。一方捕食者として、ネジレガイ類・オカチョウジガイ類も種多様化が著しかった。室内での観察から、これらの捕食者は他の陸産貝類種群を捕食していることが確認された。台湾や香港では、実際に野外で陸産貝類が捕食される様子の観察や、室内での行動観察から、泡を吹いて抵抗する・殻を振るなど、対捕食者としての防御行動を確認した。これは、殻形態の変化だけでなく、行動という形質も捕食者によって多様化しうることを示唆する。さらに、本年度はエスカレーション型放散仮説をより広範な分類群へと拡張し、タニシ科貝類についても捕食が表現型を多様化する可能性を示す結果が得られた。以上のことから、捕食ー被食が貝類の殻形態や行動などの表現型を多様化させることが考えられる。さらに、表現型間(種間)で生殖隔離が伴う場合があることから、捕食者と被食者の軍拡競争は、種分化を生じさせる可能性を示唆する。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(12 results)