2016 Fiscal Year Annual Research Report
反応断面積による中性子スキン厚決定と非対称核物質状態方程式の解明
Project/Area Number |
15J01446
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 聖臣 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 不安定原子核 / 反応断面積 / 中性子スキン / 核物質状態方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、原子核および陽子標的に対する反応断面積の系統的測定から中性子スキン厚ΔRを導出し、その陽子・中性子非対称度[δ=(N-Z)/A]依存性から、非対称核物質状態方程式における対称エネルギー係数の密度依存パラメータLを決定することを目指している。非対称な系における核物質状態方程式は、未だに完全には解明されておらず、その原因の一つとして密度依存パラメータLの不定性が指摘されている。本研究の幅広いδ領域における中性子スキン厚ΔR(δ)測定による非対称核物質状態方程式解明は、原子核物理のみならず中性子星や超新星爆発といった宇宙物理に対しても、新たな知見を与えることが期待される。 平成28年度には、以下2つの点で研究が進展した。 (1)平成27年度に放射線医学総合研究所HIMACにおいて測定したホウ素13-15Bの反応断面積測定データの解析を行い、原子核標的および陽子標的に対する反応断面積の両結果を組み合わせる事で13-15Bの陽子・中性子密度分布の導出に成功した。得られた陽子・中性子密度分布から、B同位体における中性子スキンの発展を明らかにする事が出来た。さらに14Bにおいて、その中性子密度が中心から遠く離れた領域まで薄く広がっており、「中性子ハロー構造」が発達している事を実験的に解明出来た。 (2)平成28年11月に、理化学研究所のRIビームファクトリー(理研RIBF)において、42-48Caおよび58-78Niの炭素および陽子標的に対する反応断面積を測定した。さらに、上記核種の炭素標的に対する荷電変化断面積測定を同時に行った。荷電変化断面積は陽子分布半径をプローブ出来る物理量であるため、「原子核および陽子標的に対する反応断面積を用いた中性子スキン厚決定法」により導出した陽子分布半径と相補的に議論を行う予定である。得られたデータ解析は現在進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度取得したホウ素同位体の測定データを完了させた。また、計画では昨年度行う予定であったカルシウム同位体に対する測定に加えて、本年度行う予定であったニッケル同位体に対する測定も行う事が出来たため、極めて順調に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度取得したカルシウムおよびニッケル同位体の測定データの解析を精力的に進めていき、全核種に対して中性子スキン厚を導出する。得られた結果から、対称核物質状態方程式における対称エネルギー係数の密度依存パラメータLを決定することを目指す。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Measurements of Radiative Capture Cross Sections at Big Bang Energies2017
Author(s)
Masaomi Tanaka, Mitsunori Fukuda, Yutaro Tanaka, Hang Du, Kousuke Ohnishi, Shoichi Yagi, Takanobu Sugihara, Taichi Hori, Shoken Nakamura, Rikuto Yanagihara, Kensaku Matsuta, Mototsugu Mihara, Daiki Nishimura, Shuichi Iwakiri, Shohei Kambayashi, Shota Kunimatsu, Hikaru Sakakibara, and Shintaro Yamaoka
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Journal Title
JPS Conf. Proc., Proc. 14th Int. Symp. on Nuclei in the Cosmos (NIC2016)
Volume: 14
Pages: 020106 1-3
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] NMR detection of short-lived β-emitter 12N implanted in water2017
Author(s)
T. Sugihara, M. Mihara, J. Shimaya, K. Matsuta, M. Fukuda, J. Ohno, M. Tanaka, S. Yamaoka, K. Watanabe, S. Iwakiri, R. Yanagihara, Y. Tanaka, H. Du, K. Onishi, S. Kambayashi, T. Minamisono, D. Nishimura, T. Izumikawa, A. Ozawa, Y. Ishibashi, A. Kitagawa, S. Sato, M. Torikoshi, S. Momota
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Journal Title
Hyperfine Interact (2017) 238:20
Volume: 238
Pages: 20 1-5
DOI
Peer Reviewed
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