2015 Fiscal Year Annual Research Report
微小血管の拡張調節を介した筋タンパク合成/分解バランスの制御
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15J01582
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
膳法 浩史 順天堂大学, スポーツ健康科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 骨格筋 / タンパク合成 / インスリン / 血流 / 血管拡張 / 微小循環 / 毛細血管 / 細動脈 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、筋タンパク合成/分解出納バランスが微小血管の拡張調節による影響を受けるか否かを明らかにすることを目的としている. 初年度である平成27年度は、動物を対象として検討を行った. ラット骨格筋を対象にインスリン刺激による安定同位体フェニルアラニンの取り込み・放出バランスの変化を求めることにより、筋タンパク合成/分解バランスを評価しようと試みた.インスリン刺激による血流量の増加を安定的に捉えるため高インスリン正常グルコースクランプを2時間施行し、その時の血流量を測定した.筋血流の測定には、動脈血流測定のゴールデンスタンダードとされている超音波トランジットタイム血流計(Transonic T410)を用いた.実験を重ねた結果、年度後半より安定的にインスリンクランプを行えるようになり、インスリン刺激時の血流量は安静時の約2倍にまで増加した.一方、筋タンパク合成の評価に必要な安定同位体フェニルアラニンの結果は安定しなかった.そこで、筋タンパク合成の評価として近年多くの報告がされているピューロマイシン法(Goodman and Hornberger, Exerc Sport Sci Rev. 2013)に切り替えることにした.この手法により、安定的に筋タンパク合成量を評価することが可能となった. 本研究は、当初の計画通り翌年度も継続し、翌年度には終了する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、筋タンパク合成/分解出納バランスが微小血管の拡張調節による影響を受けるか否かを明らかにすることを目的としている. 【一過性の薬剤投与の検討】ラット骨格筋を対象にインスリン刺激による安定同位体フェニルアラニンの取り込み・放出バランスの変化を求めることにより、筋タンパク合成/分解バランスを評価しようと試みた.インスリン刺激による血流量の増加を安定的に捉えるため高インスリン正常グルコースクランプを2時間施行し、その時の血流量を測定した.筋血流の測定には、動脈血流測定のゴールデンスタンダードとされている超音波トランジットタイム血流計(Transonic T410)を用いた.実験を重ねた結果、年度後半より安定的にインスリンクランプを行えるようになり、インスリン刺激時の血流量は安静時の約2倍にまで増加した.一方、筋タンパク合成の評価に必要な安定同位体フェニルアラニンの結果は安定しなかった.そこで、筋タンパク合成の評価として近年多くの報告がされているピューロマイシン法(Goodman and Hornberger, Exerc Sport Sci Rev. 2013)に切り替えることにした.この手法により、安定的に筋タンパク合成量を評価することが可能となった. 【継続的薬剤投与の検討】本検討は、ラットを対象に継続的な筋タンパク合成刺激としての過負荷筋肥大モデルを,筋タンパク分解刺激として後肢懸垂除負荷モデルを用い,薬剤刺激による微小血管拡張が骨格筋の肥大や萎縮に与える影響を明らかにする.過負荷筋肥大モデルにおいては、申請者が報告している方法(Zempo et al. 2016)に沿って行った.さらに、血管拡張亢進剤,抑制剤もしくはVehicleを毎日経口投与する.評価は,筋重量および骨格筋の分子細胞学的な特徴(シグナル分子,骨格筋制御因子,微小血管分布など)をウエスタンブロット法やRT-PCR法,組織免疫染色法を用いて明らかにする.
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Strategy for Future Research Activity |
【一過性薬剤投与の検討】 本研究は、当初の計画通り翌年度も継続し、翌年度には終了する予定である. 【継続的薬剤投与の検討】 過負荷モデルは、当初の計画通り翌年度も継続し、翌年度には終了する予定である. 一方、除負荷モデルにおける検討は、昨年の体力医学会大会で山門ら(東海大学)のグループがギプス固定法による結果を報告しており、後肢懸垂モデルなどへの変更をする必要があると考えられた.
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