2016 Fiscal Year Annual Research Report
金属表面上に作製した2次元シリコン構造の反応性解明
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15J01628
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
牧野 隆正 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 表面反応 / 銅 / 一酸化炭素 / エチレン / シリコン |
Outline of Annual Research Achievements |
Cu(410)ステップ表面への一酸化炭素(CO)分子の吸着状態について、昇温脱離法(TPD)と密度汎関数理論(DFT)計算を用いて詳細に調べた。またステップを持たない表面と比較するために、Cu(100)表面におけるCO分子の吸着状態についてもDFT計算を行った。Cu(410)面においてCO分子はステップエッジを優先的に占有すること、そしてステップエッジに吸着したCO分子の脱離ピーク温度はテラスのものより40 K程度高いことを見出した。DFT計算を、分子間反撥を考慮せずに行うと、CO分子がステップエッジを優先的に占有することは説明できるが、脱離ピークの温度差が40 K程度になることは説明できなかった。このことからピーク温度の差は、ステップエッジへの吸着の優位性と吸着分子間反撥の両方に起因することが明らかになった。また、Cu(410)面におけるCO分子の飽和被覆率が過去に報告されているCu(100)面のものよりも大きいことがわかった。これはDFT計算により、ステップエッジに吸着したCO分子が、テラスに吸着したCO分子との反撥を減少するように傾くことができるためだと明らかになった。 Spring-8にてCu(410)面やCu(111)面とエチレン(C2H4)分子の反応を、シンクロトロン放射光を用いたX線光電子分光(XPS)により調べた。2 eV程度の並進エネルギーを持つC2H4分子線を照射するとどちらの面でもC2H4が反応して表面に炭素種が生成すること、そしてCu(410)面とCu(111)面ではC1sピークの成長の仕方が異なることがわかった。また試料温度を500 Kにして分子線を照射すると、300 Kの時より反応性は高くなることが明らかになった。 またCu表面へシリコン(Si)を蒸着しSi構造を作製し、その構造や反応性を調べるための準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初計画していた、Cu(100)およびCu(410)単結晶表面上へのSi原子蒸着による2次元Si構造の作製とその表面構造解析を行うことは出来なかったため、このような評価としている。現在は、2次元Si構造を作製し、作製したSi構造と塩化メチル(CH3Cl)分子の反応性を調べるための装置の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画である、Cu単結晶表面へのSi原子蒸着による2次元Si構造の作製とその表面構造解析を行う。 また、大型放射光施設SPring-8においてシンクロトロン放射光を用いたX線光電子分光(XPS)により、CuやSiと塩化メチル(CH3Cl)分子線との反応を調べ、その反応性、CH3Cl分子の並進エネルギー依存性や基盤温度依存性を明らかにする。 また、Cu表面上に作製した2次元Si構造についても、CH3Cl分子との反応性を調べる。
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Research Products
(7 results)