2016 Fiscal Year Annual Research Report
ミスマッチ修復機構がクロマチン複製と協調する機構の解明
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15J01767
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
照井 利輝 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | ミスマッチ修復 / クロマチン |
Outline of Annual Research Achievements |
ミスマッチ修復(MMR)機構はDNA合成エラーを修復し、突然変異を抑制する重要なDNA修復機構である。真核生物のDNAは複製直後からクロマチン構造をとるため、真核生物のMMRはクロマチン上で起きているはずである。しかし、MMRがクロマチン上で達成される仕組みはまだあまり明らかになっていない。特にMMRに関わるクロマチンリモデリング因子やヒストンシャペロンなどのクロマチン動態の変動に関わる因子は全く明らかになっていない。本研究では前年度までに、ツメガエル卵核質抽出液をクロマチン上のMMRのモデル系として用いることで、クロマチン上でのMMRを促進するであろう因子を同定していた。さらに、出芽酵母を用いることで、該当因子が実際に生体内で突然変異を抑制する働きをもつことを見出していた。本年度は、該当因子が突然変異を抑制する仕組みを明らかにするため、突然変異計測に用いた遺伝子座の変異をシーケンシング解析により同定した。興味深いことに、該当因子の欠失により蓄積する変異はMMR因子の欠失により蓄積する変異と類似しており、該当因子がMMRを促進することで突然変異を抑制することが強く示唆された。また、私は免疫染色法とリアルタイムPCRを組み合わせることによって、MMR因子やヒストンタンパク質のDNAへの結合を定量する方法を確立した。本研究からクロマチン上のMMRに関わる新たな因子が明らかになった。本研究はクロマチン上でMMRが達成される仕組みの理解を飛躍的に前進させると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は既にクロマチン上でMMRを達成するために重要であると思われる因子を同定しており、ツメガエル卵核質抽出液を用いた系と、出芽酵母を用いた系の両方の系において、該当因子がクロマチン上でのMMRを促進するであろうことを示唆する結果を得ている。また、これらの結果を公表するための論文の大部分を既に完成させており、当初の計画通りの成果を上げることが十分に期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究において、真核生物のMMRはミスマッチ周辺のヌクレオソームを排除しながら進行することが示唆された。今後はこの分子機構をさらに明らかにするため、クロマチン上のMMRを試験管内で再構成する系を構築する。また、試験管内でクロマチン複製を再現できるツメガエル卵核質抽出液の利点を活かし、試験管内系でクロマチン複製の正確性を評価できる実験系を構築する。
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