2015 Fiscal Year Annual Research Report
モデルフリーに基づいたクラスタリング手法の開発とソーシャルデータ解析への応用
Project/Area Number |
15J01897
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木下 尚彦 筑波大学, システム情報工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
|
Keywords | クラスタリング / モデルフリー / ファジィ理論 / 不確実性 |
Outline of Annual Research Achievements |
クラスタリングは有用なデータマイニング手法であり多くの分野で活用されている。しかし、ネットワーク技術等の発展に伴うデータ量の巨大化は、数理計画法をコアとする従来のモデルベースクラスタリング手法の想定範囲を大きく超えているため、これらの手法はソーシャルデータに代表されるビッグデータを解析するための手法としては適切ではない。 そこで本研究課題では、モデルベースという考え方から脱却し、対象の行動予測を現在と過去の履歴のみで行うモデルフリーの立場に立脚し、その観点からのクラスタリング手法の構築に取り組み、ビッグデータ解析のためのモデルフリークラスタリング手法の構築を目的としている。さらに、従来のモデルベース手法と構築手法との比較検討、SNSデータなどのビッグデータ解析を通し、モデルベース手法と構築手法との関連性、モデルフリー手法の発展性及び有効性を明らかにし、モデルフリークラスタリング手法構築の礎を築く。本研究課題の現在までの成果としては、制御の分野においても広く用いられているファジィ推論に着目した、モデルフリークラスタリング手法の構築を進め、階層型モデルフリークラスタリングと非階層型モデルフリークラスタリングの雛形を構築した。特に階層型モデルフリークラスタリングでは、従来のモデルベースクラスタリングとの比較を十分に行うことで、関連性や分類特性を明らかにすることができた。また、それらに並行してモデルベースクラスタリングに関しても、ラフ集合論を用いた新たなクラスタリング手法や、誤差を含んだデータを扱うクラスタリング手法の構築を行った。これらの手法の構築により、クラスタリングにおける不確実性をより広く扱えるようになったと言える。これらの成果から現時点での本研究課題の進捗状況は十分に果たされていると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究実施計画はでモデルベースクラスタリングの検討、モデルベースクラスタリングからの数理モデルの抽出、モデルフリー実現のための諸技法の検討、モデルフリークラスタリング構築のための言語則構築を課題としていた。この計画は概ね達成できており、ソフトコンピューティング技法であるファジィ推論に着目した、階層型モデルフリークラスタリング手法と、非階層型モデルフリークラスタリング手法の雛形の構築を行った。特に階層型モデルフリークラスタリング手法に関しては、モデルベースクラスタリングである階層併合的手法との関連性についても明らかにすることができたため、予想以上の進展があった。しかしながら、非階層型モデルフリークラスタリングについては未だモデルベースクラスタリング手法との関連性について充分に明らかになっておらず、今後も検討する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は非階層型モデルフリークラスタリングの特徴解析と、モデルベースクラスタリングとの等価性の検証を行うとともに、構築した手法のさらなる改良を行う。そして、最終的にはSNSデータを始めとした様々な実データに適応して構築手法の有効性を検証することを目標としたい。
|
Research Products
(6 results)