2015 Fiscal Year Annual Research Report
変性タンパク質の細胞内毒性を制御する因子の解明と化合物の探索
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15J01930
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
櫻井 靖之 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 神経変性疾患 / siRNA スクリーニング / tauタンパク質 / プロテアソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
神経変性疾患に共通する病理所見として、神経細胞内外においてミスフォールドタンパク質により形成される凝集体が知られている一方、凝集体形成を制御する分子メカニズムは不明である。そこで本研究では1)tauタンパク質の細胞内凝集体形成に関わる因子の同定及び2)プロテアソームを活性化することでミスフォールドタンパク質の分解を促進する化合物の探索を目的としている。 1)については、ヒト培養細胞においてtauを蛍光タンパク質Venusで標識することで可視化し、かつ凝集体を恒常的に維持する細胞株の樹立に成功した。この系を用いてゲノムワイド・ハイコンテントsiRNAスクリーニングを実施し、候補因子を絞り込み、候補因子に対する個別解析を行った。特に、mRNAの品質管理機構の一つであるnonsense mediated decayの遺伝子が多くヒットし、tauタンパク質のみならず、凝集性タンパク質全般に広く効果を及ぼす可能性についても解析中である。培養細胞のみならず、ショウジョウバエにおける遺伝学的解析でTDP-43 M337Vによるハエの複眼の変性への影響も確認できた。 2)については、200,000以上の化合物を精製したプロテアソームを用いたin vitroアッセイで21個に絞り込み、さらに細胞内のミスフォールドしたSOD1 G85Rの分解を促進する化合物を得ることができた。この化合物は野生型SOD1には効果が無く、また優位な細胞毒性を示さなかったため、プロテアソームの活性化化合物として有望だと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調にtauの凝集体形成を定量的に評価するスクリーニング系を構築し、候補因子を絞り込むことができ、特にmRNAの品質管理機構であるnonsense mediate decay経路とタンパク質の品質管理について新たな知見を得られる可能性がある。 また、プロテアソームを活性化する化合物に関しても、in vitro及び細胞内でも活性が確認でき、かつ毒性が低い化合物を得ることができた。 以上より、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、mRNAの品質管理機構であるnonsense mediated decayがタンパク質の凝集にどのよに関与するのかその具体的なメカニズムを培養細胞及びショウジョウバエを用いた生化学的・遺伝学的解析で解明することを予定している。 プロテアソームを活性化する化合物に関しては、有機合成研究者との連携により構造の最適化を行うとともに、得られた化合物とプロテアソームの共結晶も共同研究より解析し、プロテアソーム活性化の詳細なメカニズムを調べる予定である。
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Research Products
(2 results)