2016 Fiscal Year Annual Research Report
短波長可視光照射による昆虫に対する殺虫メカニズムの解明とその利用に関する研究
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15J01933
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渋谷 和樹 東北大学, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 昆虫 / 可視光 / 太陽光 / 致死効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の報告では、予備的な検討によって、短波長光と長波長光の同時照射による回復効果は無い、もしくは低いという可能性が見いだされた。また、複数波長の同時照射が殺虫効果を上昇させる可能性も見出された。今年度はこれらの可能性をより詳細に検討した。試験には人工太陽灯および光学フィルター用いた。 照射区を400~510 nm(短波長光区)、510~740 nm(長波長光区)、400~740 nm(全可視光区)の3区とし、キイロショウジョウバエ蛹に18時間照射してその死亡率を比較した。その結果、死亡率はそれぞれ40%、1.25%、96.25%となった。対照区とした全暗条件区は0%であった。長波長光区の殺虫効果は極めて低かったが、短波長光と同時に照射することにより死亡率が大きく上昇した。この結果より、研究開始当初に予想した、短波長光と長波長光を同時に照射することによる回復効果は無いと考えられた。しかし、複数波長の同時照射が協力作用によって殺虫効果を強める、という結果も示された。 このことより昆虫は、幅広い波長が含まれる太陽光に晒されると、含まれる波長が少ない人工照明下よりも大きなダメージを受けると考えられる。そのため、おそらく野外の幼虫や成虫は、日陰に移動することで致死量の太陽光を浴びないようにしていると思われる。卵や蛹についても、直射日光にさらされない場所を選んで産卵・蛹化するという戦略をとっている可能性がある。また、日中に受けた光ダメージを夜間に回復している可能性も考えられる。 本研究は生物と光の関係について新たな知見を示したという点で意義深いものである。また、光を用いた害虫防除という応用面においても有用な情報を提示したといえる。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)