2015 Fiscal Year Annual Research Report
電離圏を揺るがす火山の爆発的噴火:GNSSによるアプローチ
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15J01960
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中島 悠貴 北海道大学, 理学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | GNSS-TEC / GPS-TEC / 超低周波音 / 電離圏 / 火山噴火 / 広帯域地震計 / 大気自由振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ちょうど年度のはじめに発生した2つの火山噴火 (2015年4月Calbuco火山噴火、及び2015年5月の口永良部島火山噴火) について解析した。並行して、電離圏擾乱と比較ができる他の観測データやシミュレーションの情報を取り入れるための情報を収集をし、簡単な解析を行った。これは火山噴火は地表で起こる現象であるため、地上での地震動・大気震動としっかりと対応づけることは本質的に重要なことであると考えるためである。 2015年4月22日から23日にかけて発生した、チリのCalbuco火山の2度の噴火に伴い発生した電離圏擾乱を、GNSS-TEC法によって確認することができた。これはプリニー式噴火 (数時間にわたり成層圏まで到達する高い噴煙を上げ続ける噴火) よるものであった。アルゼンチンの国土地理院の展開するGNSS観測網・RAMSACの15秒及び1秒サンプリングのデータの結果を短時間フーリエ解析にかけたところ、2度の噴火に対応した約4 mHzの信号の消長を確認することができた。 5月29日に発生した口永良部島火山噴火による電離圏擾乱は、おおむねHeki (2006, GRL) で報告された波形と似たものであった。この噴火はブルカノ式噴火 (火道の圧力が高まることで噴煙と爆発音を発するタイプの噴火のこと) であった。GEONETの1 Hzサンプリングを地震研究所のグループとの共同研究の一環として手に入れることができた。その結果、得られた電離圏擾乱の波形は南北で振幅が異なるだけではなく、波形も大きく異なることがわかった。年度末には、いくつかの機関が収集した広帯域地震計・マイクロフォン・絶対圧計のデータをを手に入れることができた。固体地球・下層大気での振動から、どのようにしてこのような電離圏での擾乱が生み出されるのかを考えることが翌年度当初の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度初めに良質な事例がタイミングよく発生したため、計画通りの行動はとれなかった。そして目立った成果を上げることもできなかった。しかし、これから本課題を推進していく材料を揃えることができたと考えている。そのため、おおむね順調に進展していると言ってよいと考えている。 まず、成果として、昨年度取り組んでいた、インドネシア・Kelud火山の噴火に伴う電離圏擾乱の研究について無事にEarth and Planetary science letters に論文を発表することができた。これは今年度の成果ではないが、本研究の一部と考えることができるものである。そして、GNSS-TEC法による電離圏擾乱の検出の他にも、地震研究所のグループとの共同研究として、広帯域地震計や絶対圧計など本研究を進めていく上で重要となる情報を取り扱えるようになった。これは今後2年間、成果を出していく上でかなり大事なことであったと考えている。データは出揃ったため、翌年度の早い段階で論文の執筆に手をつけることができるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度末で活用できそうな気圧計や地震計のデータがほぼ出そろったため、早急に解析結果をまとめ、春のJpGUならびに速報誌で発表したい。
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Research Products
(10 results)