2016 Fiscal Year Annual Research Report
電離圏を揺るがす火山の爆発的噴火:GNSSによるアプローチ
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15J01960
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中島 悠貴 北海道大学, 理学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | GNSS-TEC / 火山噴火 / 電離圏 / 地震計 / 超低周波音 |
Outline of Annual Research Achievements |
火山現象に伴う電離圏擾乱は30年ほど前からいくつかの報告が確認できるが、絶対数が少なく、実態は未だに謎も多い。つまり、事例が増えるだけでも意義がある。しかも、先行研究から、噴火の形式や推移にあわせてかなり多様性を持っていることが期待されている。そして現在、我々が解析している信号は質・量共に良好で、丁寧な解析が望まれる。 そこで本年度は、前年度より取り組んでいる口永良部島火山噴火に伴う電離圏擾乱の解釈とさらなる解析を試みた。具体的には、火山から電離圏への波動伝搬の解明と下層での地震計・気圧計の観測と電離圏での信号とが矛盾しない解釈とを目指した。その過程で、他機関の研究者らとも積極的に交流を持って議論し、共同で研究を進めることができた。今回得られている信号は音波で、二種の明らかに異なる特徴をもつ部分を見ることができる。これら音波の見かけ速度から、信号は球面状に広がっており、この伝搬はほとんど波線理論で説明できることが示唆された。現在は電離圏での信号と地震計・気圧計の信号との周波数成分のずれや信号強度が、上空へと伝搬していく過程での減衰等で説明ができるのか、また波線理論からのズレがどれほど出ているのかに関心を持って取り組んでいる。 そのほか、本年度は国内外で精力的に発表を行い、国内の学会で二つの学生優秀発表賞を受賞することができた。本年度は投稿論文を出版することができなかったが、来年度は博士論文をまとめる必要がある。双方をうまくまとめられるように努力したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度から取り組んでいる電離圏での火山起源の信号の解析結果について内外の研究者と議論を深めることができた。その議論を深めて行く過程で、一人で考えていては思いつかないような解析をいくつか試みた。解析の中には成功したものも失敗したものもあるが、失敗したものも含めて勉強になった。そして年度末には今後の共同研究を進めるために、海外へ研究打ち合わせにも赴いた。決して長い滞在ではなかったが、得難い経験ができた。以上のように、本年度は成果として大きく出せたものはなかったが、その分確実に次年度以降へとつなげられる結果や経験を手に入れることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は本課題の最終年度なので、初年度・今年度の取り組みを博士論文及び数編の投稿論文としてまとめていきたい。
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Research Products
(8 results)