2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J01986
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
藤江 健太郎 東京理科大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | Keller-Segel系 / 非線形放物型方程式 / 癌浸潤現象 / 移流拡散方程式 / 退化放物型 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、感応性関数をもつKeller-Segel系の解の挙動の研究については、以下の研究成果を挙げた:1、九州工業大学の仙葉隆教授と共に、空間局所的な質量の流出に着目するという新しい解析方法を構築し、一般の感応性関数をもつ空間二次元の放物・楕円型Keller-Segel系の大域可解性と有界性の導出に成功した。特に、感応性関数についての条件が大域可解性のための本質的な条件であることが確認できた。2、上記の解析方法の放物・放物型Keller-Segel系への拡張を九州工業大学の仙葉隆教授と共に考察した。球対称性の条件の下で空間局所的質量のヘルダー連続性の導出を行うことで、放物・放物型Keller-Segel系への拡張に成功した。このヘルダー連続性は、放物・放物型Keller-Segel系の数学解析を行う上で重要な情報を与えるものであり、今後の応用が強く期待できる。
次に、癌浸潤現象を記述する数理モデルの大域可解性・安定性についての研究も行った。得られた結果は以下の通りである:1、エネルギー評価の導出および比較原理を用いることでロジスティック項をもつ数理モデルの大域可解性と漸近挙動を導出した。2、非線形拡散項(非退化型・退化型)をもつ数理モデルの大域可解性と漸近挙動を東京理科大学の石田祥子氏、伊藤昭夫氏と東京理科大学の横田智巳准教授とともに研究し、エネルギー評価を用いることで一定の条件のもとで漸近挙動が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
27年度の研究計画で目標としていた課題のうち、重要な部分について新たな知見を得ることができた。実際、感応性関数をもつKeller-Segel系に対する研究では、研究計画の核であった空間局所的評価を用いる解析方法の構築を行った。また、放物・放物型Keller-Segel系の基本的性質である空間局所的質量のヘルダー連続性も導けた。癌浸潤現象を記述する数理モデルに対する数学解析については、27年度の研究計画であった非線形項をもつ場合の漸近挙動の導出が予想より早くできた。そのため、計画を前倒して非線形拡散項をもつ場合の漸近挙動の解析も行った。鍵となるエネルギー評価の導出に成功して、一定の条件の下で退化型拡散項をもつ場合の漸近挙動の解析も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
感応性関数をもつ放物・放物型Keller-Segel系の研究を推進する。特に、高次元において感応性関数がもつパラメーターによって、解の振る舞いに臨界構造があることを明らかにする。また、研究の過程で得られた知見をロジスティック項をもつKeller-Segel系の研究に応用する。 癌浸潤現象を記述する数理モデルの数学解析については、特に退化型拡散項をもつ場合の漸近挙動を解明する。既に得た結果では解が遠方で振動する可能性が排除できていないので、振動する解の存在・非存在を検討する。 得られた結果は、2016年7月に開催される「The 11th AIMS Conference on Dynamical Systems, Differential Equations and Applications」(オーランド・アメリカ)にて発表する予定である。
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Research Products
(11 results)