2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J02049
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
栗村 朋 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 非線形 / 微小液滴 / 確率共鳴 / 非平衡 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究の目的は、微小液滴における確率共鳴振動という非線形系固有の現象のメカニズムを明らかにし、そのエネルギー変換(効率)の本質的な理解、そしてその定式化を目指すことである。平成27年度の予定は、まず油中液滴の確率共鳴振動の実験と定量的解析を行うことであった。マイクロスケールの微小水滴を油相中に作成し、そこに電極を一対一直線上に挿入した。液滴はある大きさ以上の直流電圧(閾値電圧)で振動する。まずある系に対して閾値電圧を調べた。さらにその閾値電圧より少し小さい直流電圧にノイズ電圧を加え、ノイズの大きさを変化させたときに液滴の周期運動の振動数や振幅がどのように変化するかを調べた。これらの実験結果より微小液滴の振動は非線形振動固有の現象であるCoherence Resonanceであることが明らかになった。つまり、この微小液滴の振動は閾値以下でもノイズにさらされることにより安定に振動する範囲が広がるといえる。この特徴はこの液滴の振動をマイクロスケールの機械に応用するうえで非常に有利であると考えられる。以上の成果を論文としてまとめ、Applied Physics Letter誌に発表した。一方で実験結果から、注入したエネルギーの算出と、液滴の運動から求められる液滴の仕事を算出したが、あまり効率がよいとはいえなかった。今後はそのモデルの作成を試み、その原因を究明したい。 一方で、実験の過程で思いがけずマイクロ粒子のパターニングという興味深い現象を発見した。これは、当研究の実施計画書には記載していないが、学術的に非常に意義があると考えられるため、この現象の解明も行いたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
微小液滴振動子におけるcoherence resonance現象を実験により明らかにし、国際誌に発表したため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画を進めるとともに、上記のマイクロ粒子のパターニングについて新規な現象を見出したため、その現象の解明も行う予定である。
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Research Products
(3 results)