2015 Fiscal Year Annual Research Report
シンチレーションバルーンを用いた世界最高感度でのマヨナラニュートリノ探索
Project/Area Number |
15J02193
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小原 脩平 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | PolyEthyleneNapthalate / 熱溶着 / バルーン |
Outline of Annual Research Achievements |
KamLAND-Zen次期フェーズのため、コラボレーターと協力して136Xeをおよそ630kg蒸留純化した。引き続き2年目もこれを継続して行い、合計約750kg程度の136Xeを用いて世界最多クラスの崩壊核量で0νββ崩壊探索をする予定である。 現行フェーズで使用していたナイロン製ミニバルーンを2015年12月23日に無傷で引き抜くことに成功し、液体シンチレータに長時間浸った状態の溶着線や釣りベルト形状などの状態を確認することができた。 発光性バルーン導入のため、液体シンチレータに溶解させる波長変換剤であるbis-MSBの含有放射性不純物量は、想定していたよりも多かった。そのため、液体シンチレータの純化方法はKamLANDで確立しているが、bis-MSB自体の純化方法もしくはbis-MSB入液体シンチレータの純化方法を考案する必要がでてきた。 PolyEthyleneNapthalateフィルムサンプルについて、特注熱溶着機にて直径80cmの実験室サイズでのテストバルーン作成をすることに成功した。これによってナイロン樹脂以外でも熱溶着によってバルーン形状に製作できることが確立され、機械的性質の観点でもKamLAND-Zenでの使用実現性が高まった。その溶着線上における強度およびガスのリーク量についても許容範囲内に収まっていたが、透過率としてはやや低いものであった。また素材に含有する放射性不純物量もクリティカルな問題では無いと予想される量ではあるが、よりきれいなものであることが望ましい。今後はロットや会社、製造方法等が異なるサンプルを取り寄せ、実用のための最終選定を精密に行う必要がある。 テスト作成したバルーンに関してはこれから水張り試験等の破壊試験を行い、バルーン形状での強度や限界点についても評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PolyethyleneNapthalateの選定が煮詰まってはいないが、それ以外については当初の研究計画通りに順調に進んでいる。136Xe純化に関してはすでに630kg純化が終了して予定より早まっており、また現行フェーズのミニバルーンを無傷で手に入れられたことは、今後のバルーン作成に関する大きな資料になる。
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Strategy for Future Research Activity |
136Xeの純化作業については継続して行う。 bis-MSB入液体シンチレータの純化、もしくはbis-MSB単体での純化方法にて検討する。 PolyEthyleneNaphtalateサンプルを複数取り寄せ、実用に向けて透過率が高くおよび含有放射性不純物量が少ないものを探す。具体的にはフィラーと呼ばれる滑剤の混入されていないものが望ましい。 解析的な発光の区別に向けて、液体シンチレータとPolyEthyleneNapthaleteでの波形弁別法の確立を目指し、発光波形の取得および評価を行う。
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Research Products
(4 results)