2016 Fiscal Year Annual Research Report
多剤排出トランスポーターの薬剤排出機構に則った新規阻害法の確立と医薬への応用
Project/Area Number |
15J02214
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 雄太 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 多剤排出トランスポーター / 薬剤耐性 / 多剤耐性緑膿菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
RND型の多剤排出トランスポーターはグラム陰性細菌の薬剤耐性に大きく関与しており、その機能解析や阻害剤の開発は、薬剤耐性克服に繋がると期待されている。本研究では緑膿菌の多剤排出トランスポーターMexBとMexYの阻害剤開発を行った。 1. MexY阻害剤の構造活性相関研究。 スクリーニングから発見されたMexY特異的阻害剤に対して、MexY阻害効果の強化を狙って構造活性相関研究を行った。その結果、リード化合物の13倍以上強いMexY阻害活性を示す化合物を見出す事に成功した。 2. MexB特異的な阻害剤H-8の結合構造について。 H-8はMexB阻害剤D13-9001から構造変換によって見出した阻害剤である。従って、D13-9001結合サイト周辺に点変異を加えて、MexBとH-8の機能を確認した結果、MexBのK151がH-8の阻害活性に重要である事が示唆される結果を得た。 3. MexB・MexY同時阻害剤H-31の開発。 H-8によって得られた知見から構造変換を行った結果、MexB・MexY同時阻害剤H-31の発見に至った。また、H-31を併用する事で、臨床分離された多剤耐性緑膿菌に対する既存の抗菌薬(AZT、CPFX、IPM等)の有効濃度が低下する効果が見られた。この結果は、本アプローチによる医薬品が多剤耐性緑膿菌に有効であろうという事を強く示唆する結果であった。 4. MexB・MexY同時阻害剤H-31の作用メカニズム。 H-31はH-8を改良して見出した阻害剤であるにも関わらず、H-8とは異なり、外膜障害作用に起因する機構でトランスポーター阻害を引き起こしている可能性が強く示唆された。この阻害機構はトランスポーターの特徴を突いた広域阻害剤になり得る。 本研究で得られた知見は多剤排出トランスポーターを標的にした医薬品の開発に繋がるものと考える。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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