2015 Fiscal Year Annual Research Report
白血病幹細胞に特異的な新規表面抗原の探索および機能解析
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15J02269
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
貫名 有香 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | AML / 白血病幹細胞 / LSC / 表面抗原 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では単一細胞ごとの遺伝子発現解析を用いて、個々のAML細胞のLSCらしさを、独自に導入した「single-cell leukemia initiating cell (LIC) スコア」として点数付けしてLSCに特異的に発現している表面抗原を探索した。具体的にはAML 2症例検体のCD34+細胞を、単一細胞毎に発現量を解析し、候補遺伝子の中でsingle-cell LICスコアと正の相関関係を示す19遺伝子を抽出した。AMLの遺伝子発現プロファイルと疾患予後を解析した既報データを用いて、各19遺伝子の発現量と予後との相関関係を調べ、ALCAM遺伝子のみが高発現群が低発現群と比較して有意に生存率が低かったことからgene Aに着目した。 実際にM3以外のヒトAML症例でgene AがCD34陽性細胞で正常骨髄細胞と比較して全般的に高発現なことを確認した。次に異種移植実験をおこない、ヒトAML症例において4症例中1症例においてgene Aが有意差をもってLICを濃縮することを示した。更なる症例での検討が必要である。 gene Aノックアウトマウスを用いてgene Aの働きを検討したが、ヒトAML症例において唯一有意差を認めた症例がMLL遺伝子再構成を有する症例であったことから、MLL-ENL AMLモデルマウスで実験を行った。しかしマウスモデルにおいてはgene Aが白血病細胞全体でほとんど発現しておらず、gene A発現の有無によりLICの頻度に差を認めなかった。ヒトとマウスモデルではgene Aの役割が異なることが予想された。 次にgene Aの役割を解析するためヒトAML細胞株の中で、MLL遺伝子再構成を有するTHP-1細胞株を用いて実験を行った。実際にgene Aを機能阻害すると、in vitroで増殖能が低下し、またin vivoにおいてもAML発症能が阻害され、異種移植実験において生存期間が延長することを示した。以上のことからgene Aは治療標的となる可能性があることを示した
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初実験計画で予定していた研究は予定通り着手することができた。 現在データのn数が足りておらず、更なる症例数の確保が必要な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
gene AがLICを濃縮するマーカーとなるか、現時点では有意差があるのは1症例のみであるため、更なる症例で検討する必要がある。 また、gene Aが白血病細胞においてどのような機能的役割を示しているか検討をする。
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