2015 Fiscal Year Annual Research Report
高解像度3次元シミュレーションを用いた銀河構造と分子雲形成・星形成の研究
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15J02294
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤本 裕輔 北海道大学, 理学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 棒渦巻銀河 / 分子雲 / 星形成 / 超新星爆発 / 銀河流体シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
銀河構造が星形成に与える影響を明らかにすることが我々の研究の目的である。我々は過去の一連の研究で、大きく環境の異なる銀河構造を持つ棒渦巻銀河に注目してきた。棒渦巻銀河のBar領域とArm領域では両領域ともにガス面密度が同程度に高いにもかかわらず、星形成率が異なることが問題になっている。これは、星の原料である星間ガスの量が同程度あるにも関わらず、生まれる星の量が銀河内の領域で異なることを示している。我々はこれまでの研究で、星形成の母体である分子雲を分解する高解像度の棒渦巻銀河シミュレーションを行ってきた。そして領域ごとの分子雲の性質や進化の特徴を調べ、銀河領域ごとでそれらが異なることと、その中でも特に分子雲同士の相互作用の違いが星形成率の違いに繋がっていることを示してきた。本年度(平成27年4月1日から平成28年3月31日)は、上記の棒渦巻銀河シミュレーションに新たに超新星爆発による影響を考慮させた計算を行った。そして、超新星爆発が分子雲に与える影響を調べた。超新星爆発は周囲の星間ガス分布に大きな影響を与えるため、銀河内の分子雲の形成と進化にとって重要な物理現象である。今回の新しいシミュレーションによって、超新星爆発が分子雲の一部分を破壊し、そのガスを星間空間に分散させることによって、分子雲間の星間ガス密度を上げること。そして分子雲間の星間ガス密度上昇によって銀河内を回転する分子雲はより大きい抵抗受け角運動量を失い、銀河中心に落ちていくことを明らかにした。この分子雲落下は、銀河中心の進化を理解するにあたって、銀河中心へのガス供給機構として非常に重要であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の棒渦巻銀河シミュレーションに超新星爆発の影響を考慮することに成功し、その結果を博士論文としてまとめることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は超新星爆発の影響をより現実的な方法で考慮していくことを目指す。具体的には、これまでは最も簡単な熱エネルギーによる方法を採用していたが、今後は運動量による超新星爆発の影響も考慮していく。また、これまでの銀河シミュレーションで得られた分子雲カタログを基に、分子雲スケールのシミュレーションを行い、その中で形成される分子雲コアの性質や分布、進化なども調べる。銀河シミュレーションから分子雲シミュレーションまでの幅広いダイナミックレンジを研究し、銀河における星形成を明らかにしていく。
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Research Products
(7 results)