2015 Fiscal Year Annual Research Report
シグマ陽子散乱実験による斥力芯の起源解明とバリオン間力の研究
Project/Area Number |
15J02306
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤澤 雄也 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 検出器開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
核力における斥力芯の起源解明とバリオン間力の研究のため、加速器施設J-PARCにおいて∑p散乱実験を計画している。平成27年度においては、本実験を遂行するために必要不可欠な散乱陽子検出器群(CATCH)の開発を進めた。CATCHは円筒形ファイバー飛跡検出器(CFT)とBGOカロリメータから構成されており、特にCFTはシンチレーションファイバーを円筒状に直線形とらせん形に配置するという画期的な検出器であるため、製作の試行錯誤が必要であった。 平成26年度に製作したCFT試作機の性能評価実験の結果を受けて、新たに実機の一部の製作を行った。この際、新たに補助フレームの導入やファイバー接着箇所の追加等の改善を加え、性能向上を図った。これらの改善の効果を確かめるために宇宙線を用いた性能評価実験を行った結果、試作機において80%程度であった検出効率は98%にまで改善したことを確かめた。検出器本体以外にも、ファイバーからの光を検出するMPPCの読み出しシステムの構築も進展させた。MPPCの読み出し回路として、我々のグループで開発した多チャンネルMPPC読み出し用回路であるEASIROC boardを用いる。ファイバーは全体で約5000本使用するが、実機の一部の読み出しの際に本番と同様のシステムを構築し、約1500本の同時読み出しに成功した。 以上によってCFTの製作手法は確立され、実機の残りの部分を製作するのみである。平成27年度中に実機CFT製作を開始しており、平成28年度6月中に全て完成する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
検出器群CATCHの開発は平成27年度中に全て終了する計画であったが、現在の見込みでは平成28年6月に完成する予定である。計画よりも開発進捗はやや遅れているものの、完成の目途は立っている状態である。 また、本実験を行うJ-PARCでのビーム利用については他実験の利用が優先される見込みとなっているため、検出器開発が滞りなく進展したとしても∑p散乱実験の遂行は当初の計画よりもやや遅れる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは散乱陽子検出器群CATCHの製作を完了させた後、性能評価実験を行い、システム全体として正常に動作することを確認する。 CATCHが完成した後は、J-PARCに移送しビームライン上に設置する。CATCHとビームライン検出器等を含めたセットアップ・調整を行い、∑p散乱実験を遂行する。 実験終了後は実験データの解析を行い、∑p間の斥力芯の大きさを定量的に求め、バリオン間力の研究を推進する。
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