2015 Fiscal Year Annual Research Report
金属担持多孔質材料作製に向けた超臨界CO2中の前駆体吸着挙動の測定及びモデリング
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15J02431
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宇敷 育男 東北大学, 大学院環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 金属錯体 / メソポーラスシリカ / 吸着平衡 / 超臨界CO2 / ロジウム / 多孔質担体 / Dubinin-Astakhov式 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,固定層吸着法に基づいて新たに開発した装置により,均一なメソ孔及び高比表面積を有する3種のメソポーラスシリカ(MCM-41,MSU-H, HMS)をモデル多孔質担体,シンナムアルデヒド等の水素化反応の触媒であるロジウムの前駆体であるロジウムアセチルアセトナートRh(acac)3をモデル金属錯体として,温度313から353 K,圧力20.0 MPaの範囲で測定を行った.その結果,超臨界CO2中におけるRh(acac)3吸着量は担体の比表面積に強く依存することが明らかになり,これは吸着サイト数の観点から説明可能であった.また温度依存性に関しては一般的な吸着現象と異なり,温度低下に伴い金属錯体の吸着量が低下するという傾向を得た.これは温度低下によるCO2密度増加に伴う金属錯体の吸着相からバルク相への溶解性の増大,及び競争吸着するCO2量の増加に起因する結果と考えられる.また熱力学的かつ物理的意味が明確なパラメーターを有するDubinin-Astakhov式を測定した吸着平衡を適用した結果,実験で得られた吸着剤及び温度依存性の傾向を本モデルにより良好に相関可能であった.またDubinin-Astakhov式による相関で獲得したパラメーターの解析により,超臨界CO2中における金属錯体-吸着剤間の相互作用エネルギーや飽和吸着容量に関する定量的な情報を得ることが可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規の吸着挙動測定装置により金属錯体であるRh(acac)3の3種のメソポーラスシリカに対する吸着平衡を幅広い温度条件において測定し,Dubinin-Astakhov式を用いた解析により超臨界CO2中における金属錯体の吸着現象を定量的に理解できたことから,概ね当初の計画通りに順調に研究が進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね研究が順調に進捗していることから,当初計画通りに,他の多孔質担体や金属錯体に関する吸着平衡の測定及び解析を行い,担体種や金属錯体種が超臨界CO2中における吸着現象に与える影響に関して評価する.更に,超臨界CO2中における吸着挙動の速度論解析により,実際の金属担持多孔質材料作製における担持時間の最適化に向けた基礎的検討を行う.
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Research Products
(4 results)