2015 Fiscal Year Annual Research Report
格差社会に抗する教員文化研究 ―効果のある学校に着目して―
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15J02437
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西 徳宏 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 教員文化 / 学力格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は「効果のある学校」が成立する要因とそのプロセスを、日米の小学校の比較研究を通して明らかにすることを研究目的として、平成27年度の研究活動を行った。平成27年度の研究実施計画として①大阪南部の小学校での調査活動、②学会参加と研究成果の発表・情報収集、③カリフォルニア大学サンタクルーズ校のGordon教授の協力のもと、研究活動に従事し、アメリカの教育政策の動向についての調査、④サンタクルーズ市の小学校にて参与観察し学校現場にもたらす教育政策のインパクトについて調査という、計4点を研究計画としてあげていた。 いずれの点についても、研究実施計画通り遂行し、成果を得ている。①については、大阪南部の小学校で参与観察を行い、学力格差を是正する学校の実践についてフィールドノーツによるデータを収集した。②については、日本教育社会学会、学校社会学研究会、トロントで開催されたCIES学会などに参加し、研究成果の発表と情報収集を行った。③については平成27年9月から平成28年3月までの半年間をカリフォルニア大学サンタクルーズ校で過ごし、アメリカの教育政策動向について研究活動に従事した。④についてはサンタクルーズ市の低所得者層が集住する地域の小学校で参与観察を行い、半年間のフィールドノーツ、60名以上のインタビューデータを収集した。 申請者の本年度の研究実績について、①現在社会問題となっている学力格差の問題が顕著に表れている日米の小学校での参与観察を遂行し、比較研究に耐えうるだけの質的データを収集した点で重要であり、また②研究成果を積極的に発表し、社会に対して研究報告の義務を果たしている点で意義深いと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究の進捗状況は概ね順調に進展しているといえる。それは、当初予定していた研究計画の全てについて、一定の成果を得ているからである。また、調査対象である二つの小学校の教員たちと、参与観察を行う中で、とても良好な信頼関係を構築しており、継続的な調査を行うことが可能となっている。このことは、今後2年間の円滑な調査継続を行うこと、二つの学校の構造についての、より正確な理解をすることを可能とするであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策について、最も重要なものが、データの整理・分析である。調査対象校で収集した音声データなどをトランスクリプトに編集し、分析を行う。また、適切な分析を行うための分析方法論についても、整理することが重要となるであろう。また、フィールドでの調査活動も適宜必要に応じて行い、データ分析の精度を高めていくことが必要となるであろう。
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Research Products
(3 results)