2016 Fiscal Year Annual Research Report
格差社会に抗する教員文化研究 ―効果のある学校に着目して―
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15J02437
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西 徳宏 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 効果のある学校 / 学力格差 / 学校文化 / 教員文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究実施状況は以下の通りである。第一に、4月から1月にかけて、研究対象校である大阪府の小学校でのフィールドワークを週に一度のペースで行い、データの収集を継続的に行った。教室内で教師と子供の相互作用を観察するとともに、教員同士の相互作用についても観察を行った。 第二に、2月から3月にかけてアメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクルーズ市に渡米して、フィールドワークを行った。訪問調査の目的は昨年度から継続して行っている低所得者層の集住地域の小学校での参与観察を行い、新大統領政権下における学校の取り組みを把握することである。調査の具体的な内容については、4週間にわたる学校でのフィールワークに基づくフィールドノーツの作成および、インタビュー調査を行った。 第三に、学会発表での発表・学術雑誌への投稿を行った。9月には日本教育社会学会にて調査の報告を行った。また、「教育社会学研究」、「解放社会学研究」への論文投稿を行った。いずれも本研究課題および博士論文に関連する論文であるが「日本解放社会学研究」へ投稿した論文については査読付き論文として受理されている。 第四に、共同研究、副専攻プログラム、ボランティア活動、への精力的な取り組みがある。共同研究では、カリフォルニア大学サンタクルーズ校のJune. Ann. Gordon教授とともに、マイノリティ集住地域の学校における教育保障の現状と課題に関する共同研究を推進した。また指導教授である志水宏吉教授らとともに、学力格差是正策に関する共同研究に取り組んだ。そして、東日本大震災の被災地におけるアクションリサーチに取り組んでいる。大阪大学のリーディングプラグラム、ボランティア活動にも精力的に取り組み、東日本大震災で被災した小中学校で夏休みの期間を利用した学習支援活動に主幹で取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の進捗状況については,当初の計画以上に進展をしている。そう評価できる理由は第一に、研究対象校である大阪府の小学校でのフィールドワークを週に一度のペースで行い、データの収集を継続的に行い,教室内で教師と子供の相互作用を観察するとともに、教員同士の相互作用についても観察することができた。調査を通じて,対象校の教員集団と信頼関係を構築することによって期待以上の研究遂行に必要なデータを収集することができた。 第二に,成果の発表が挙げられる。今年度において,三つの学会への論文投稿および学会発表を行い,自身の研究を公表し,批評を受けるだけではなく,研究推進のための情報の収集を行うことができた。研究の成果については,学内紀要を合わせると4つの学術誌へ投稿し,そのうちの一つは査読論文として掲載予定である。 第三の理由として,自身の研究を推進するための共同研究,国際的な研究活動の円滑な推進が行われたことが挙げられる。カリフォルニア大学サンタクルーズ校のJune. Ann. Gordon教授とともに、マイノリティ集住地域の学校における教育保障の現状と課題に関する共同研究を推進した。また指導教授である志水宏吉教授らとともに、学力格差是正策に関する共同研究に取り組んだ。これらの研究は,本研究課題に有益な示唆を提供しており,研究成果の質の向上に役立つものであると言えるだろう。以上の理由から,本研究課題の進捗状況は当初の計画以上に進展していると言えることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進のための方策として,以下の点が挙げられる。 第一に,追加データの収集が挙げられる。現在,教員集団への聞き取りは概ね完了しているが,今後データを分析していくにあたって追加のインタビューやフィールドワークなどが必要となることが予想される。そのため,調査対象校との関係を維持し,最終年度である次年度でデータの収集を完了したい。 第一に,分析枠組みの検討が挙げられる。データの収集が概ね完了したため,今後は分析の枠組みを設定しながら,研究成果を執筆していくことになる。分析の枠組みについては,これまでの先行研究の枠組みを参照しつつ設定していくことになるが,次年度の学会発表などの機会を活用して,その枠組みを援用する妥当性について検討したい。 第三に,研究成果の公表が挙げられる。本研究課題の研究成果については,今後学会誌への投稿を積極的に行い,公表していく。現在投稿を検討している学術雑誌として,教育学研究紀要,比較教育学研究紀要などが主候補としてあげられる。また,その他の学術雑誌への投稿についても積極的に挑戦していく予定である。 第四に,博士論文として研究の成果をまとめることが挙げられる。申請者が所属している大阪大学人間科学研究科での研究報告会や検討会などを活用して,本研究課題で得られた知見を博士論文として執筆していく。そのためには指導教員,副指導教員などの指導を受けつつ,博士の学位にあたいする論文となるよう,原稿の執筆・推敲に努めていきたい。以上が本研究課題の推進の方策である。
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Research Products
(5 results)