2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15J02529
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 博章 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 国際緊急援助 / 海外派遣 / 湾岸戦争 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本外交における国際緊急援助活動の位置付けを①日本の国際貢献と国際緊急援助活動の関連性、②国際緊急援助活動に対する関与の可能性、③非軍事的手段による関与の実効性の3点から解明しようとするものである。 採用初年度は日本の国際貢献意識の推移と日本政府の人的支援の模索を中心に研究を行った。 日本の国際貢献意識の推移について、英国国立公文書館における資料調査を実施し、総合安全保障戦略発表後の英国政府の反応を明らかにすることが出来た。次に人的支援の模索について、国際緊急援助隊法制定過程に着目し、関係各省庁に対する情報公開請求を行った結果、人的支援模索における非軍事手段の役割を明らかにすることが出来た。これに関しては、11月に開催された日本国際政治学会において「国際緊急援助活動と日本外交―国際緊急援助隊発足を中心に」として口頭発表を実施した。 そして経済援助等の非人的支援と人的支援の関係について、湾岸戦争における日本の支援に着目し、「湾岸戦争に対する日本の支援―多国籍軍に対する民生支援を中心に」『人間環境学』第13巻第1号(2015年6月)として、湾岸戦争における日本の民生支援の政策決定過程とそれに対する日本国内および米国の反応を明らかにした。また、「自衛隊海外派遣と人的貢献策の模索―ペルシャ湾掃海艇派遣を中心に」『戦略研究』第17号(2015年12月)は湾岸危機以降の日本の人的支援模索の動きを考察すると共に、91年の掃海艇派遣と87年のペルシャ湾安全航行問題の連続性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
採用初年度となる平成27年度は日本国内における資料調査及び英国における在外研究を実施した。その結果、国際緊急援助隊法制定過程における外務省と関係各省庁との折衝、そして内閣官房との関係が明らかになった。英国における在外研究においては、総合安全保障戦略発表後の英国政府の反応を明らかにすることが出来た。 本年度は博士論文の核となる自衛隊海外派遣についての研究成果を投稿し、それぞれ「湾岸戦争に対する日本の支援―多国籍軍に対する民生支援を中心に」『人間環境学』第13巻第1号(2015年6月)、「自衛隊海外派遣と人的貢献策の模索―ペルシャ湾掃海艇派遣を中心に」『戦略研究』第17号(2015年12月)として掲載された。 資料調査、研究成果報告共に当初期待していた以上の成果を挙げていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究においては、初年度に実施できなかった米国での資料調査及び初年度の資料調査の結果、英国に有益な資料が残っていることが判明したため、豪州における資料調査を英国での資料調査に変更した上で資料調査を実施する。 これらの調査を踏まえ、博士論文の完成を目指すものである。
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Research Products
(4 results)