2015 Fiscal Year Annual Research Report
紅藻アマノリ属藻類(ウシケノリ目)のストレス応答と環境への適応機構に関する研究
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15J02533
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
渡邉 裕基 鹿児島大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | アマノリ属藻類 / パルス変調クロロフィル蛍光測定法 / 酸素電極法 / 光合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究実施計画に基づき,以下の研究を遂行した。 1. アマノリ属藻類は,冬期から春期にかけて巨視的な配偶体が繁茂するため,昨年度の冬期から継続し,九州を中心とし藻体の採集を実施した。各地で採取した藻体は,研究室内においてパルス変調クロロフィル蛍光測定法(PAM法)と酸素電極法を用いて,異なる環境条件下における光合成活性を測定した。実験により得たデータは,共同研究者である長崎大学のGregory N. Nishihara准教授の指導のもとで解析を行った。2. 上記1により採集した藻体は押し葉標本を作成するとともに,成熟している藻体からは果胞子を単離し,各種の胞子体培養株を作成した。胞子体は微小な大きさであることに加え,その生長速度は緩やかであるため,各種測定,試験に使用可能なサイズになるまで長期的な培養を継続している。3. 実験に用いた種については,形態による同定の他,分子系統解析を用いて確実な同定を行った。分子系統解析については,2015年11月にお茶の水女子大学の嶌田智准教授の指導のもとで実施した。4. 2015年10月から2016年1月にかけて,アマノリ養殖工程における光合成活性・生理状態の変化について,PAM法を使用した測定を実施した。特に,本年度は過去の結果の再現性の確認と,乾燥工程による光合成活性への影響に重点を置いて研究を行った。 上記の研究を実施するとともに,得られた結果については,2015年10月に宮城県仙台市において開催された,平成27年度公益社団法人日本水産学会秋期大会においてポスター発表を,2016年3月に東京都千代田区において開催された,日本藻類学会第40回大会において口頭発表を通じて外部へと発信した。また,この発表と過去の研究成果に基づいた論文を1報,英文誌に投稿し,その他に和文を1報,英文を1報執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アマノリ属藻類の胞子体は非常にゆっくりと生長するため,作成した培養株の一部は本年度中に測定が可能な大きさまで育成することが出来なかった。しかし,配偶体を対象とした測定では,十分な結果が得られているほか,測定を行った胞子体培養株については非常に明瞭な結果が得られており,育成中の一部の胞子体についても今後の結果が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね計画通りに進展しており,平成28年度の計画に沿って実施する。平成27年度より培養を継続している胞子体について測定を行うほか,より多様な環境条件下におけるパルス変調クロロフィル蛍光測定法を用いた測定法について検討を行う。
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Research Products
(2 results)