2015 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病原因遺伝子産物DJ-1のミトコンドリアにおける機能の解明
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15J02562
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安田 樹 北海道大学, 生命科学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | DJ-1 / パーキンソン病 / ミトコンドリア / 脳神経疾患 / タンパク質 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は過酸化水素処理時のDJ-1結合タンパク質の1つとしてオートファジー促進因子であるBeclin1を見出していたため、当初、この結合によりDJ-1がマイトファジーを制御している可能性を考えた。そこで、活性酸素を増加させマイトファジーも誘導する脱分極剤CCCP処理時の両者の結合について検討したが、結合量の増加は見られなかった。また、Beclin1をノックダウンしても、飢餓時のオートファジーは減弱する一方で、CCCP処理時の、マイトファジーによるミトコンドリア分解に影響はなかった。これらの結果から、Beclin1との相互作用に着目したマイトファジーの検討から転換して、DJ-1とParkinマイトファジーの関連についても検討したが、ここでもDJ-1のマイトファジーへの関与を示す明確なデータは得られなかった。その後、DJ-1とミトコンドリアの関連について様々な検討を新たに行って行く中で、神経芽細胞種SH-SY5Yをパーキンソン病のリスクファクターの1つでありミトコンドリア毒として知られている除草剤パラコートで処理すると、パラコートの濃度・時間依存的にSDS-resistant DJ-1 dimerが増加することを見出した。DJ-1は通常、動的dimerとして存在するが、このような不可逆性の強いSDS-resistant DJ-1 dimerはパーキンソン病患者で顕著に増加しているとの報告があり、パーキンソン病との因果関係が示唆されていたが詳細は長らく不明であった。本研究で、DJ-1とパーキンソン病リスクファクターを用いてSDS-resistant dimer形成を培養細胞で再現できたことは、パーキンソン病発症機構を解明する上で大変有意義な発見である。本研究結果より、DJ-1のSDS-resistant dimer形成は病理的な状態で起こること、並びにパラコートによるパーキンソン病発症にDJ-1の動的分子状況が深く関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予想していた結果とは異なる結果を得たため、当初計画通りには進行せず方向性は変わってしまったが、その中でSDS-resistant dimer形成によるDJ-1の機能破綻がパラコート誘引パーキンソン病発症に関与する可能性を示唆する新たな知見を得られた意義は大きく、パーキンソン病発症分子機構解明という大きな目標に向けた進展があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
DJ-1のSDS-resistant dimerが形成されるメカニズムを明らかにする。また、我々はDJ-1の過剰酸化を防ぎ神経細胞死を抑制する化合物を同定しているため、パラコートによる神経細胞死に対するDJ-1結合化合物の影響について検討を行う。更に、パラコートによって引き起こされるATP産生低下などのミトコンドリア異常とSDS-resistant DJ-1 dimerの関連も検討し、DJ-1とミトコンドリアについて新たな知見を得て、パーキンソン病発症機構解明・予防に貢献したいと考えている。
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