2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15J02585
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
CAHAYA ADAM BADRA 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | スピンゼーベック / スピンポンプ / スピン注入 |
Outline of Annual Research Achievements |
スピンカロリトロニクスはスピン・熱・電流の理解や制御を対象とする分野である。近年発見された温度差によるスピン流の発生現象であるスピンゼーベック効果はこのスピンカロリトロニクス分野の代表として、現在世界中の研究者に注目されている。熱電変換の理論から、スピン流の制御による熱電変換効率の増加を含めた近年のスピンゼーベック効果の研究進行のレビューをAdvances of the IEEE Transactions on Magneticsに27年9月に投稿した。 これまでのスピンゼーベック効果の実験でよく扱っているイットリウム・鉄・ガーネット (Y 3 Fe 5 O 12 , YIG)は複数の異なる磁化を持っている格子からできている。これまでのスピンゼーベック効果の実験でよく扱っているイットリウム・鉄・ガーネット (Y3Fe5O12,YIG)は複数の異なる磁化を持っている格子からできている。YIGの磁化は反強磁性的にふるまっている2種類の鉄イオン(Fe3+)の磁化からできている。スピンゼーベック効果によって発生したスピン流の大きさはスピンミキシング伝導度に比例している。スピンミキシング伝導度は局在スピンの磁化と伝導電子の相互作用によって定まれている。 本研究は局在スピンに周辺の自由電子からどのようなスピントルクを与えるか、局在スピンがどのようなスピン流を発生するかを理論的に解析した。局在スピンを源に自由電子へ注入され、広がったスピン流を求めることができた。スピンミキシング伝導度は強磁性絶縁体と常磁性金属の界面の性質であり、(0次元)局在スピンの理論をこのような(2次元)界面に適用して、強磁性絶縁体から常磁性金属にポンプされたスピン流を求めるができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成27年10月、局在スピンのダンピング増加解析を行ったところ、当初の予想に反し、2次元局在スピン近似の結果が予想したものと異なることが判明したため、2次元局在スピン近似で解析モデル再検討を行い、計算対象を1次元、2次元に拡大した上でスピン間の相互作用を考慮する必要が生じた。また、スピン流理論解析にスピン間相互作用を入れなければならい。その理由により、局在スピンによるスピン流の分析に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
YIGの磁化は反強磁性的にふるまっている2種類の鉄イオン(Fe3+)の磁化からできている。鉄は遷移金属の一つであり、結晶場相互作用に大きく影響されている。多くの物質では、遷移金属は正八面体や正四面体結晶状にある。結晶場による遷移金属の電子の波動関数の縮退がなくなり、磁化を作る3d起動波動関数は異方性を持つ。遷移金属の磁化によるポンプされたスピン流も異方性を持つに違いない。 遷移金属の他に、希土類元素は波動関数も、スピン角運動量と起動角運動量の相互作用による異方性を持つ。YIG内のイットリウムが希土類元素に置き換えることで磁化が大きくなる。 本研究で構築された理論が鉄を始め、遷移金属によるスピン流発生現象に適用することができる。今後の研究では、結晶場による異方性がどのように、強い磁性を持つ遷移金属のスピンスピン流発生現象に影響するかを解析する。この理論解析も希土類元素によるスピン流発生現象にも適用できるだろう。
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Research Products
(4 results)