2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J02613
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 博文 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 蛍光イメージング / 形態学的変化 / 細胞刺激 / 周波数多重 / 画像計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、薬剤による細胞刺激の条件決定とイメージング装置の開発を行った。薬剤による細胞刺激では、形態学的変化の強く誘導できるよう、細胞骨格の阻害剤に目標を絞って条件検討を行った。その結果、微小管の阻害剤であり、リウマチや痛風の治療に用いられているコルヒチン(Colchicine) と、アクチン重合阻害剤であるLatrunculin-Aを細胞刺激の薬剤として選定した。形態変化を誘導する細胞には、ヒト乳がん由来の細胞株であるMCF7に緑色蛍光タンパク(GFP)が遺伝子導入されたMCF7/GFPを用いた。後の実験工程で細胞分取を容易にするために、GFPが導入された細胞を用いた。上記二種類の薬剤をMCF7/GFPに加え、時間経過を観察した結果、特徴的な形態学的変化が観察された。この形態学的変化は、画像計測を通して、例えば面積と周長を変数として統計的に評価することが可能である。また、接着細胞であるMCF7/GFPが接着した状態だけでなく、浮遊した状態で薬剤を加えても同様の形態学的変化を観察できることから、本研究の目的であるハイスループットスクリーニングと相性がよい。 上記の薬剤の条件検討と平行して、蛍光イメージングの開発も行った。具体的には光通信で利用されている周波数多重の原理をイメージングに応用した方法を開発した。当方法では、一列に並んだ100程のピクセル情報を一度に取得できるため、従来の蛍光イメージングよりも数十倍高速な撮影が可能である。当成果は今年2月に行われた国際学会Photonics West 2016で発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画で最も重要となる細胞刺激の条件となる薬剤と、その評価方法を決定することができた。薬剤による細胞刺激は再現性がよいため、今後実験を進める際に良きコントロールとして利用することができ、今後の実験が進めやすくなる。また、高速蛍光イメージング手法を確立したことで、蛍光イメージを用いたスクリーニングを実施することができ、本研究の最終目標である細胞分析法の確立を加速させる成果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は接着細胞に対する薬剤刺激の条件検討を終えたが、臨床現場での応用性を考慮すると、浮遊細胞でも薬剤刺激による形態学的変化を調べることは不可欠である。既にヒト慢性骨髄性白血病由来の細胞株であるK562を用いた検討を開始したが、浮遊細胞の形態学的変化の計測は接着細胞よりも困難であることが見込まれる。次年度は浮遊細胞の形態学的変化を画像計測によって定量的に決定する手法を確立し、採血したままの血液に対して出来るだけ少ない処理で細胞を識別できるようにする。
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Research Products
(2 results)