2015 Fiscal Year Annual Research Report
摩擦と化学反応が複雑に絡み合ったマルチフィジックス化学機械研磨シミュレータの開発
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15J02619
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
河口 健太郎 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 化学機械研磨 / 量子分子動力学法 / 半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,コンピュータシミュレーション手法を用いることにより,半導体基板材料に対する化学機械研磨(CMP)プロセスについて高効率・高精度なプロセス設計指針を得ることを目的としている。平成27年度は,新規計算プログラムの開発とともに難加工材料(窒化ガリウム)のCMPシミュレーションを行った。
1. 連続的な化学反応を扱えるCMPシミュレータの開発 CMPは化学的な活性種と微小な砥粒を含む研磨液を用いて基板表面を研磨する手法である。従来のCMPシミュレータは原子数が一定であるため,活性種が消費される,また化学反応による副生成物が研磨液中に蓄積し化学反応を阻害することで,連続的な化学反応を再現できない。そこで,活性種を供給/副生成物を除去するアルゴリズムを実装した連続的な化学反応を扱えるCMPシミュレータを開発した。 2. OHラジカル援用窒化ガリウム(GaN)基板研磨プロセスの解明およびプロセス設計 GaN基板研磨プロセスにおいてOHラジカルが活性種として有利であることを先行研究より明らかにした。平成27年度は,OHラジカルの量が研磨プロセスに及ぼす影響について,上記1で開発したシミュレータを用いて解析を行った。その結果,OHラジカルの量がGaN基板表面サイト数以下の場合,OHラジカルが緻密な吸着膜を形成して砥粒による研磨が困難であることを明らかにした。OHラジカルの量が表面サイト数以上の場合にGaN基板表面の酸化がおこり,基板のN原子がN2分子として脱離し,Ga原子は砥粒と結合して削り取られる研磨メカニズムを明らかにした。共同研究先の実験グループとともに,シミュレーション結果をもとにOHラジカルの生成を促進するプロセスを設計し加工効率の向上に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は,当初の予定通り新規CMPシミュレータの開発に成功し,さらに,開発したプログラムを用いることにより新たな研究成果を上げた。その成果はイタリア・ドイツで開催された国際会議で発表し,論文として近日中に投稿予定である。故に,計画に沿って順調に研究が進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
GaN基板研磨に対しては,開発したシミュレータおよび第一原理計算を活用し新規砥粒材料の設計を行う。また,難加工材料である単結晶ダイヤモンド・炭化ケイ素基板の研磨プロセスについても,高効率なプロセス設計と目的としたシミュレーションを行う。さらに,MPI並列化による大規模化にも着手し,凹凸を有する基板表面をモデル化したシミュレーションを行うことで,原子レベルの平坦化プロセスに向けた知見を得る。
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Research Products
(5 results)