2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15J02663
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上杉 健志 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 枯れ葉剤関係の論文執筆・掲載 / 軍事環境人類学の論文執筆・掲載 / 公害裁判関係の先行研究 / 資料収集 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度は3本の論文の執筆・校正を手掛けた。そのうちの2本「枯葉剤の副作用とバイオ市民性の変容」(コンタクト・ゾーン)とToxic Epidemics: Agent Orange Sickness in Vietnam and the United States (Medical Anthropology)は、博士論文研究をもとに執筆したもので、もう一本「軍事環境人類学の研究展望」(『文化人類学』)は、その前年度に参加した研究会の代表に依頼されて書いた研究展望です。
2015年12月にはオーストラリア人類学会研究大会に参加し(発表なし)、軍事と環境問題(毒物災害)に関する研究者と今後の研究協力、シンポジウム開催などについて打ち合わせを行った(メルボルン大学)。2015年9月以降は、2015年5月の国際人類学会におけるパネルをオーガナイズし、パネルと発表の準備を手掛けている。2016年3月にはバンクーバーにて、ベトナムにおけるダイオキシン研究を行ったハットフィールドコンサルタント会社の科学者のインタビューを行った。
ポスドク研究の新テーマに関しては、2015年度は主に文献の精読を行った。テーマとしては、法と科学、統計学と疫学に関する科学技術研究の理論的先行研究、日本の公害裁判に関する書籍、そしてその他の毒物災害に関する著書を読んでいる。2016年1月には、日本疫学学会研究大会に参加し(発表なし)、研究発表を聞くことを通して、日本疫学学会における最近の動向を探った。2016年2月には豊島産業廃棄物処理場を視察しました。2016年3月には、ニューブランズウィック(カナダ)枯葉剤裁判に関する研究協力者との打ち合わせを行い、裁判当時に使われた資料などのアーカイブ書類を入手し、現在読んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
27年度の研究目標は、公害・環境リスクに関する科学技術研究と疫学と統計学の歴史の先行研究の整理、日本の公害裁判の判例の分析、公害裁判にかかわったことのある弁護士のインタビュー、そして、ダイオキシンに関する科学と法の日米比較の論文の執筆でした。前年度から手掛けていた論文の執筆・再投稿などがあったため、弁護士のインタビューとダイオキシンに関する論文の執筆を手掛けるには至りませんでしたが、毒物災害におけるリスクと不確実性や日本の公害問題に関する先行研究、疫学の歴史の読書・整理などにおいては一定の成果がありました。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、これまでの先行研究の整理を続けるとともに、弁護士のインタビューなどのフィールド調査を行う。
博士論文を本として書き直す作業をし、有機水銀とダイオキシンに関する研究を比較し、1970年代の毒の定義の転換期に焦点を合わせた論文を書き投稿する。
日米のアスベストに関する判例・裁判資料、環境規制資料などを、科学的証拠基準に的を絞って調べる。アスベストに関する科学史を疫学と毒生物学を中心に調べる。
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Research Products
(4 results)