2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15J02667
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野澤 一太 大阪大学, 産業科学研究所, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | アト秒電子ビーム / 磁気パルス圧縮器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主たる目的である、アト秒電子ビーム発生を達成するためには、電子ビーム圧縮条件の最適化が不可欠である。当該年度は、前年度に実施した電子ビームパルス幅測定系を用いて、電子ビームの最適な圧縮条件について実験に検討を行った。 電子ビームはパルス幅が短くなるほど、高周波数・高強度の輻射(コヒーレント放射)を行うことができる。この特性を利用して、電子ビームが真空とアルミミラーの境界面で輻射するコヒーレント遷移放射を赤外検出器で計測すると、圧縮条件が最適なほど(パルス幅が短いほど)検出器からのシグナル強度が増加する。ゆえに、磁気パルス圧縮器を構成する電磁石の条件を変化させながら、測定を実施することで、圧縮条件の最適値を知ることができる。 本研究の成果として、阪大産研の磁気パルス圧縮器の場合、アクロマティック条件(収色性条件)を満たした際に、電子ビームが最も圧縮されることがわかった。さらに、アクロマティック条件を満たす場合であっても、電磁石の漏れ磁場等による高次効果の影響は、磁気パルス圧縮器を構成する電磁石の条件によって変化することがわかったため、圧縮器直前のビームパラメータを考慮して圧縮器の電磁石の磁場を設定することにより、より短パルスの電子ビームが発生可能であると考える。また、実験と並行して、ビームトラッキングシミュレーションを用いた圧縮条件の最適化を実施し、両者が概ね一致することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、アト秒電子ビーム発生の前段階として、圧縮条件の検討を行い、実験・シミュレーションの方法の観点から、圧縮条件の最適値について検討をつけることができた。これまでに、フェムト秒電子ビームの発生と計測には成功しているため、本研究の目的である、アト秒電子ビーム発生・計測を実施するための土壌が整ってきたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策として、下記の項目を実施する予定である。 (1)アト秒電子ビーム発生・計測実験 前年度までに得たビームパラメータや圧縮条件に関する知見を活かして、実験的にアト秒電子ビームの発生と計測を行う。また、アト秒電子ビームが発生・計測できた場合には、アト秒領域でしか観測できない放射線誘起現象の観測に研究を展開する。
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