2017 Fiscal Year Annual Research Report
ワーズワス・コウルリッジ・ブレイクの「哲学詩」における存在論―その現代への射程
Project/Area Number |
15J02845
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
騎馬 秀太 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
|
Keywords | ワーズワス / コウルリッジ / 哲学詩 / 習慣 |
Outline of Annual Research Achievements |
採用第三年度目は、まず前年度に再確認した「習慣」と中世スコラ哲学の強固な結びつきを、コウルリッジの『ノートブック』を詳細に研究することで明確にし、その思想的背景を明示化した。アヘン中毒、すなわち悪癖としての習慣に悩まされていたコウルリッジは、自分の自由意志の障害となる習慣に対して否定的な評価を下すことが多く、先行研究も基本的にこうした理解を前提に議論を行うものが大半なのだが、日記の代替物でもあった性格上、それ自体が習慣的でもある『ノートブック』の記述には、こうした前提を覆すようなエントリーが多数存在する。これらの記述はコウルリッジの詩と哲学においていかに習慣が一貫したテーマであったかを物語っており、ワーズワスとともに創作を志した「哲学詩」の中心にこの問題があったことを示唆している。前年度より参加している東京コウルリッジ研究会において、これらのエントリーを共同で訳出し、出版に向けて継続した活動をつづけている。 初期の計画では、もう一人のロマン派第一世代であるウィリアム・ブレイクを扱う予定であったが、ワーズワスとコウルリッジにおける「習慣」の問題を研究していくうちに、「哲学詩」のより具体的な内容記述を行うためには、その環大西洋的(Transatlantic)な影響、つまりアメリカへの影響を考えるべきであることが明瞭となった。環大西洋的な「哲学詩」の影響を辿ることによって、「哲学詩」の中核にあるロマン派的習慣概念がどのように変容しつつ、認識論を回避したプラグマティズムの伝統に接続することになったのかを明示化することが可能となる。これはロマン派研究に新たな知見を提供するものとなるだけでなく、研究領域として分離しがちなイギリス文学研究とアメリカ文学研究を橋渡しする役割も担うものとなるだろう。
|
Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(2 results)