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2017 Fiscal Year Annual Research Report

移民規制の厳格化とトランスナショナルな社会空間の変容―米墨間移民の事例を中心に

Research Project

Project/Area Number 15J02917
Research InstitutionHitotsubashi University

Principal Investigator

飯尾 真貴子  一橋大学, 大学院社会学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2015-04-24 – 2018-03-31
Keywords移民管理レジーム / トランスナショナルな社会空間 / 強制送還政策 / 米墨間移住 / 選別的移民政策 / 暫定的権利付与プログラム(DACA)
Outline of Annual Research Achievements

本研究のテーマである移民規制の厳格化が移民の形成するトランスナショナルな社会空間に与える影響を理解するためには、メキシコ村落部(S村)の調査だけでなく、移住先の集住地域における状況も含めて把握する必要があった。この課題であったS村出身者が多く集住する米国カリフォルニア州フレズノ市における3週間の現地調査を2017年9月に実施した。
この調査を通じて得た知見は主に次の三点である。一点目は、移民規制の厳格化による越境的な家族形成の変容である。従来の研究では、移住した男性が故郷に残る家族を経済的に支えることが指摘されてきたが、本調査では強制送還された男性を支えるために、配偶者である女性が米国に残り故郷に戻った男性に仕送りするという、越境的な家族形成の変容が明らかになった。
また二点目として、移民政策のあり方が女性の職業選択に制約を与えている事例があった。非正規移民の配偶者を持つ第二世代の女性は、配偶者に経済的依存していることを移民審判に示す必要があった。このため、米国市民で看護師資格があるにもかかわらず、比較的取締りの緩い農産業で氏名や社会保障番号を偽り従事していた。従来の第二世代の若者に関する研究は、教育達成による社会上昇を前提としてきたが、この事例は専門職技能を獲得した第二世代が非正規労働市場へと水路付けられる矛盾を示している。
三点目として、移民政策の厳格化による家族再統合の困難化が挙げられる。過去の越境時の拘束が「再入国」カテゴリーとして重罪化されることで、米国市民であっても両親の合法的な呼び寄せが困難になる状況が生まれている。オバマ政権は、強制送還政策による家族離散を避けるために、米国内における取締りを「犯罪者」に絞り、国境の取締りに注力するとしてきた。しかし、本調査による事例は、そのような政策意図とは裏腹に国境管理の厳罰化が家族の再結合を妨げていることを示している。

Research Progress Status

29年度が最終年度であるため、記入しない。

Strategy for Future Research Activity

29年度が最終年度であるため、記入しない。

  • Research Products

    (4 results)

All 2018 2017

All Journal Article (1 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] トランプ政権によるDACAプログラムの廃止決定の衝撃ーDACA受益者の経験と移民の若者による「ドリーマー運動」ー2017

    • Author(s)
      飯尾真貴子
    • Journal Title

      Migrants Network

      Volume: 195 Pages: 28-29

  • [Presentation] アメリカ合衆国の非正規移民をめぐる包摂と排除の境界線と抵抗の実践―若者移民によるドリーマー運動に着目して2018

    • Author(s)
      飯尾真貴子
    • Organizer
      関東社会学会 研究例会 テーマ部会B
  • [Presentation] トランプ政権下における非正規移民の現状(2)―暫定的権利(DACA)を付与された高学歴移民若者層の意識と運動―2017

    • Author(s)
      飯尾真貴子
    • Organizer
      日本社会学会
  • [Presentation] 米国における強制送還レジームの構築と移民への影響―包摂と排除のメカニズムに着目して―2017

    • Author(s)
      飯尾真貴子
    • Organizer
      立命館大学の国際言語文化研究所の連続公開講座
    • Invited

URL: 

Published: 2018-12-17  

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