2015 Fiscal Year Annual Research Report
構造推定と政策評価の手法を用いた介護保険政策の効果の推定
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15J02933
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
松山 普一 一橋大学, 大学院経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 介護保険 / 労働供給 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究第1年度となる平成27年度は政策評価の手法を用いて、親への介護が子の労働供給に与える影響の分析を行った。通常、親への介護が子の労働供給に影響しているかどうかを分析するに際して、同時決定による内生性の問題が生じる。つまり、データで親への介護と、子の労働供給に負の相関が観察されたとしても、親の介護をしているため、子の労働供給が抑制されているのか、子の労働供給を減らしているので、親の介護に参加できるのかは判別できない。そのため、操作変数法と呼ばれる推定方法を用いる。操作変数法では、親の介護とは相関するが、子の労働供給とは直接相関しない変数を見つける必要がある。 本研究では、2000年の介護保険導入を操作変数として、親への介護により、女性の労働供給が変化したかどうかの分析を行った。まず、操作変数が親の介護と相関するか確認するために、介護時間が介護保険の導入によってどのように変化をしたかを分析した。使用したデータは、『社会生活基本調査』の生活時間の集計データである。その結果、介護時間は減少しているものの、介護している人数は増えていることが分かった。 また、平成28年度の分析のために、親への介護を考慮にいれた、子の労働供給の不確実性を含んだ動的モデルの作成に取りかかった。平成28年度は、このモデルのパラメターの推定を行う。設定したモデルは、先行研究と同様に解析解を得ることは難しい。そのため、計算機による数値計算で近似解を得る必要がある。平成27年度中の研究では、どのような数値計算手法を用いるかで、解を得る時間、正確性が大きく異なることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
誘導系の分析において、どのような操作変数が妥当なのかという選定に時間がかかった。また、構造推定を行うためのモデルの設定や数値計算による解法の選定に時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
厚生労働省の『中高年縦断調査』の利用申請を行っている。『中高年縦断調査』では、同一の個人を複数の期間をまたがってデータを収集している。『中高年縦断調査』を用いた分析では、親の健康の度合を操作変数として分析を行う予定である。また、構造推定における不確実性を含んだ動的モデルの数値計算による解法が、最終的なモデルの推定量にあたえる影響を考慮に入れて分析を行う予定である。
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