2015 Fiscal Year Annual Research Report
非営利法人の経営課題における実証分析-非営利法人の大規模財務データ分析-
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15J02955
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中嶋 貴子 大阪大学, 国際公共政策研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 非営利組織 / NPO / 財務構造分析 / 経営効率性 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)民間非営利組織の活動実態と資金の流れ:民間非営利組織が社会で果たす役割の可視化と活動に関する資金の流れの把握を試みた。初年度は、東日本大震災における多様な民間非営利組織の支援活動を可視化するために、災害支援活動に対して、主要な寄付を集めた民間組織が公表する援助資金に関する情報を収集し、援助資金マトリックスを作成することに取り組んだ。また、援助資金マトリックスから組織間の相互効果を検証した。
(2)公益社団法人及び公益財団法人の財務構造分析と生産性分析:(1)において一部のデータを整備したほか、その他の法人について資料収集等を行った。本研究を発展させるため、マクロデータを用いた独自のデータのベース構築を行った。また、本研究を国際比較研究に発展させるため、国内外の研究機関等において情報収集を行った。
(3)公的病院の経営効率性と財務分析:公的病院の経営課題を明らかにするために、損益及び資本に対する地方自治体の入金が公的病院の経営効率性にどのように寄与しているのか、また、へき地の病院や救急病院など、繰入金の対象事業である政策医療が、どのような影響を及ぼしているのか実証分析により分析を試みた。具体的には、公的病院の経営効率性分析と財務分析を行い、政府の医療政策と公的病院に対する公的補助金の資本等への財政投入を考慮した公的病院の経営効率性分析と医療サービスレベルや資本レベル等を考慮できる新たな経営指標の作成を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の成果を踏まえて2年目は主に研究報告、論文の作成と投稿等を行う。また、各研究においてデータの追加等を行いデータベースを発展させる。その他、当初の予定から変更があった研究計画については、2年目にそれらの研究を実施することで対応する。 (1)民間非営利組織の活動実態と資金の流れについて、初年度は、公表資料を収集し、データベースの作成の他、独自のマトリックスを作成した。初年度に予定していた被災地でのケーススタディは、被災地の状況から実施が困難であったため、ヒアリング調査は2年目に実施予定である。また、初年度の調査対象団体について、可能な限り継続調査を行い時系列データの構築を試みる。 (2)公益社団法人及び公益財団法人の財務構造分析と生産性分析については、初年度に得られたデータベースを発展させ、財務データベースの充実を図る。得られたデータを用いて公益法人の活動実態について調査研究を行い、得られた結果を国内外の学会等で報告し、コメントを得て、研究成果を学術誌等に投稿する。また、必要に応じてヒアリング調査等の現地調査を実施する。 (3)公的病院の経営効率性と財務分析においては、公的病院の経営課題を明らかにするために、損益及び資本に対する地方自治体の入金が公的病院の経営効率性にどのように寄与しているのか、また、へき地の病院や救急病院など、繰入金の対象事業である政策医療が、どのような影響を及ぼしているのか実証分析により分析を試みた。データベースの構築に時間を要したため、初年度は、単年度データを用いて実証分析を行った。2年目は時系列データを構築し、経営効率性分析と財務構造分析を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況で記載のとおり、概ね順調に進展している。以下、各研究の今後の研究の推進方策と変更点等に対する対策である。 (1)民間非営利組織の活動実態と資金の流れについては、被災地における災害支援組織等の活動状況から初年度に予定していたヒアリング調査が実施できなかったため、2年目に実施予定である。なお、東北地域以外でも大規模な災害が発生したため、当初予定していた団体のヒアリングが難しい可能性がある。そのため、調査対象組織を災害支援分野以外の組織についても候補として検討する。ヒアリング及び事例研究の成果を、初年度に得られた研究成果を踏まえてまとめ、各種学会等での発表や論文の執筆を計画している。 (2)公益社団法人及び公益財団法人の財務構造分析と生産性分析については、初年度は、これらの研究と並行して、国際比較研究の準備を行った。2年目は、初年度に得られた成果に加えヒアリング等による現地調査結果を取り纏めるほか、公益法人等の社会的背景や法的変遷についても考慮した国際比較研究を検討する。得られた成果は国内外の学会等で報告を行うほか、学術誌等への投稿を予定している。 (3)公的病院の経営効率性と財務分析については、初年度は単年度の財務データベースに基づき実証分析と経営評価指標分析に取り組んだ。2年目は、初年度のデータベースに時系列データを追加し、パネルデータ分析を行う。また、初年度に取り組んだ経営分析を発展させ新たな変数や分析モデルの検討を行い、得られた成果を積極的に国内外の学会誌等に投稿する。
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Research Products
(4 results)