2015 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素-ケイ素二重結合鎖の伸長反応の開発と含ケイ素高度π共役系分子の合成
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15J02977
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤坂 直彦 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | ジシレン / テトラシラジエン / 分子内環化反応の抑制 / 分子設計の変更 / テトラシラジエニド |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにジシラシクロヘキセンのトリメチルシリル基の引き抜きによるジシレニド(ビニルアニオンのケイ素類縁体)への変換と続く酸化的カップリングによってテトラシラ-1,3-ジエンの合成を達成していた。今回、さらなるπ共役系の拡張を目指しテトラシラ-1,3-ジエンからテトラシラジエニド(テトラシラジエンのアニオン種)への変換を検討した。その結果、目的としたアニオン種は得られず、その分子内環化反応によって生成したと考えられるアニオン種が得られた。この結果から、さらなるπ共役系の拡張を達成するためにはテトラシラジエニドの分子内環化反応を抑制する必要があると示された。 この結果から、新たな分子設計として嵩高いアリール基である2,4,6-トリイソプロピリシリル基とトリメチルシリル基を有するジシレンを基本ユニットとして用いた検討を行った。これまでに開発した手法により、ジシレンをジシレニドへと変換した後、酸化的カップリングにより新規テトラシラ-1,3-ジエンを合成した。 得られたテトラシラジエンとカリウム-tert-ブトキシドの反応を室温で行ったところ、先と同様に分子内環化生成物が得られた。一方で18-クラウン-6-エーテル存在下、低温で反応を行ったところ、テトラシラジエニドの発生が確認された。化合物の発生は低温NMR、さらにトリエチルクロロシランを用いた捕捉反応によって確認した。なお、テトラシラジエニドの発生、観測および捕捉は世界で初めての例である。現在、テトラシラジエニドの酸化的カップリングによるオクタシラテトラエンの合成を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
π共役系の拡張を目指しテトラシラ-1,3-ジエンからテトラシラジエニド(テトラシラジエンのアニオン種)への変換を検討した結果明らかになった課題を解決すべく、分子設計を変更する必要が生じた。そのため、新たな分子設計のもとジシレンの前駆体の合成検討から始めることとなり、テトラシラジエニドの発生を実現するのに予定よりも多くの時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
18-クラウン-6-エーテル存在下、低温でのテトラシラジエニドの酸化的カップリングを検討する。低温でのジシレンユニットの連結が困難であった場合には、ケイ素-ケイ素二重結合同士をつなぐ単結合の回転を抑制し、室温においても分子内環化をしない新たなテトラシラジエニドを設計および合成し、さらなるπ共役系の拡張を目指す。
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Research Products
(6 results)