2015 Fiscal Year Annual Research Report
XMASS検出器を用いた季節変動による暗黒物質の直接探索
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15J03025
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡 直哉 神戸大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / 液体キセノン / XMASS |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、XMASS実験の次世代検出器 (XMASS-1.5)のための光電子増倍管 (PMT)の開発と、様々な物理に対するXMASSが持つ感度についての研究を行った。 現行のXMASS-I検出器では、PMTに含まれるアルミニウム由来のバックグラウンド (BG) 事象が、検出器内部に再構成され、有効体積内に入り込んでしまうことが分かっている。XMASS-1.5ではこの問題を解決するため、PMTの構造を改良して事象再構成の性能を上げ、より放射性不純物の少ない材料を使用することでさらなる低BG化を測る。今年度、XMASS-1.5に使用するPMTの試作機が完成したので、その性能試験を行った。試験項目は1光電子利得、暗電流、アフターパルス、時間性能などで、十分な性能を有することが確認できた。また、耐圧・真空試験や、液体キセノン中での動作確認も行った。これらの成果は9月の日本物理学会において発表した。また、PMTに使用する放射性不純物の少ない新材料の開発を企業と協力して行っている。 XMASSグループは、2015年7月に2013年11月から2015年3月までのデータを用いた、暗黒物質の季節変動の探索結果を発表した。この結果は現在論文として投稿中である。今後はさらにデータ取得を継続し、より精度を上げて季節変動の探索を行う。また、今回の結果から、DAMA実験が主張する領域の大部分を排除できたため、様々な暗黒物質のモデルを想定して探索する必要がさらに高まっている。また、XMASSのような大質量で低BGな検出器は、暗黒物質以外にも様々な物理を研究できる。そのため、いくつかの物理についてXMASSで研究するための予備研究を行った。その結果、XMASSは十分な感度を持つことが分かったので、今後これらの研究も行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型光電子増倍管の試験は順調に終わり、期待通りの性能を持つことを確認できた。また、最初の1年間のデータを用いた季節変動の解析結果が発表された。さらに、これまで得られた大統計のデータからXMASSが様々な新物理に対して十分な感度を持つ可能性を明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、さらに統計をため、よりよい精度で季節変動の探索を行うとともに、XMASSを用いた新物理探索のためのデータ解析を行う。
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Research Products
(3 results)