2015 Fiscal Year Annual Research Report
物流からみた戦間期日本の分業構造の分析-四大都市圏の形成・発展-
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15J03100
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
見浪 知信 京都大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 流通 / 物流 / 分業 / 日本経済史 / 貿易 / 地方史 / 貨物集散調査書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「物流からみた戦間期日本の分業構造の分析―四大都市圏の形成・発展-」というテーマのもと、研究を進めてきた。その研究目的は、以下の2点である。第1に、物流の統計を分析から国内の地域間の分業を、さらに貿易の分析から国際分業をそれぞれ論じる。また第2に、都市圏の発展形態の差異に着目し、日本の地域構造や都市間分業の分析に有効なモデルを、歴史的アプローチから導き出すことである。 平成27年度は、国際分業に重点を置いて研究を進めた。とりわけ、国と地方行政団体のそれぞれの観点から、貿易振興政策がどのように展開されたのかを中心に研究を進めた。具体的には、①輸出振興のための貿易斡旋機関の展開について、②輸出振興のための「輸出補償制度」について、の2点である。本年度はこれに伴う一次史料の収集と、研究報告、投稿用論文の執筆を行った。 ①については、貿易斡旋機関、すなわち通商情報を収集し、それを公表する機関について、その分析をおこなった。先行研究ではフォローされていない1930年代を中心に、国さらには地方行政団体の活動について分析した。国の貿易斡旋機関は、外務省と商工省が運営しており、地方の貿易斡旋機関については、大阪府市をはじめ多くの行政団体がそれを設置していた。それらの各主体の関係性について、さらにはそれらが戦時経済の状況下でいかに変化したのかについて、考察した。 ②については、外務省外交史料館文書や名古屋市市政資料館等で収集した一次資料をもとに、「輸出補償法」を分析した。本法の成立過程、実際の運用について、さらに戦時経済の下での改正について、それぞれ一次資料に基づく研究を行った。その結果、商工省や外務省、大蔵省といった関係省の間の議論や、運用におけるそれぞれの省の役割を分析したほか、地方行政団体の本制度における役割について明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度において、先述の通り、国際分業に焦点を当てて分析を行った。本研究は、日本の各工業地帯における、国際分業と国内分業の双方を分析することを目的としている。そのため、国際分業の研究は、おおむね本研究の半分にあたる。
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Strategy for Future Research Activity |
国内分業の研究については、アルバイター雇用をすることで、統計入力作業を続けており、本年度も継続する。また、収集した資料の分析も同時に進める。資料調査のため、東京等への資料調査を数回予定している。
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Research Products
(1 results)