2015 Fiscal Year Annual Research Report
運動学習記憶過程における情動の役割に関するシステム神経科学的研究
Project/Area Number |
15J03233
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
横井 惇 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
|
Keywords | 運動制御 / 運動学習 / ノルアドレナリン / 瞳孔径 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は海外渡航先である英国ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(2015年4月~8月)およびカナダ西オンタリオ大学(2015年9月~現在)において以下の研究課題を実施した。 1.運動課題中の脳機能画像計測および多変量解析を用いた脳機能画像解析手法の開発:3Dプリント技術を用いて高磁場環境下で使用可能な手首用マニピュランダム(2自由度:伸展・屈曲および橈屈・尺屈)を左右の手にそれぞれ一つずつ作成した。これらを用いて7名の被験者で片手および両手を用いた異なる方向へのポインティング動作課題を遂行中の脳活動を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて測定した。得られた脳活動データから各脳部位における運動情報表現を抽出するため、多変量解析を用いた解析手法の開発を行った。 2.運動課題中における瞳孔系の測定システムの構築および情動刺激と瞳孔径応答の基礎的データの取得:眼球運動測定装置と到達運動課題用のロボットアームの同期および必要な制御プログラムの作成が完了し、実験が可能な状況にある。西オンタリオ大学研究倫理委員会に対して倫理申請を行い、3月に受理されたので、被験者を募集して本格的にデータ取得を開始する準備が整っている。 3.高磁場fMRIを用いた運動課題中の脳機能画像計測:西オンタリオ大学Center for Functional and Metabolic Mappingの保有する高磁場(7T)MRIを用いて、高空間解像度・高時間解像度の脳機能画像計測を行った。また、生理学的ノイズ(呼吸や心拍変動による血流変動など)の補正を行うために呼吸および心拍時系列の同時測定を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.「運動課題中の脳機能画像計測および多変量解析を用いた脳機能画像解析手法の開発」は、本研究課題においてfMRIを用いた運動課題中の青斑核の活動の計測および得られる脳機能画像データの解析に必須となる。現在までにまとまった成果が得られており、成果をまとめたものを平成28年度の国際学会にて発表する予定である。
2.「運動課題中における瞳孔系の測定システムの構築および情動刺激と瞳孔径応答の基礎的データの取得」に関しても、渡航先の受入れ研究室が英国からカナダに移動したことにより各装置の再セットアップおよび再校正を行う必要があったが、現在までに完了している。倫理申請の受理と合わせて、今年度から本格的な実験が可能な状況にある。
3.「高磁場fMRIを用いた運動課題遂行中の脳機能画像計測」では脳機能画像データ中の生理学的ノイズ(呼吸や心拍変動による血流変動など)の補正を行うために呼吸および心拍時系列の同時測定を行っている。本研究課題の注目する脳部位である青斑核は脳幹に位置しており、fMRI画像において脳幹はこれらの生理学的ノイズの影響を最も受けやすい領域の一つである。したがって同研究プロジェクトで得られる知見は本研究課題の遂行にとって極めて有益である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は以下の研究課題を実施する。 1.「多変量解析を用いた脳機能画像解析手法の開発」 2.「情動刺激に対する瞳孔径応答の基礎的データの取得」 3.「運動学習・制御過程と瞳孔径変動の関連の推定」
2.に関しては十分な情動応答を得るために最適な聴覚刺激の(再)選定も考慮に入れて実施する。
|
Research Products
(4 results)