2015 Fiscal Year Annual Research Report
精神疾患個別化治療のための治療薬体内動態におよぼす遺伝子多型および併用薬の影響
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15J03252
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
大久保 真穂 昭和薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | チトクロム P450 / フラビン含有モノオキシゲナーゼ 3 / 遺伝子多型 / 精神疾患個別化治療 / リスペリドン / オランザピン / 薬物相互作用 / 血漿中薬物濃度 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗精神病薬リスペリドンおよびオランザピンを対象とし、薬物代謝酵素遺伝子多型および併用薬が血漿中薬物濃度に影響を与え得るか調べた。 個別ヒト肝ミクロゾームおよび組換え酵素を用いた検討の結果、薬物代謝酵素チトクロムP450 2D6 (CYP2D6) および3A4が同程度リスペリドン代謝に寄与しており、CYP2D6および3A5遺伝子多型は代謝酵素活性に影響を与えなかった。患者血漿中リスペリドンおよび主代謝物濃度も同様に遺伝子多型の影響を受けず、さらに併用薬の影響も認められなかった。 同様の検討の結果、オランザピン代謝消失は遺伝子多型が報告されているCYP2D6および薬物代謝酵素フラビン含有モノオキシゲナーゼ 3 ならびに喫煙により発現が誘導されるCYP1A2が同程度ずつ寄与しており、さらに複数の代謝経路に複数の酵素が寄与していることが示唆された。オランザピン代謝消失に代謝酵素遺伝子多型の影響は認められなかった。患者血漿中オランザピン濃度も同様に遺伝子多型の影響は認められず、さらに喫煙および併用薬の影響も認められなかった。 以上より、リスペリドンおよびオランザピンは、その代謝経路に複数酵素が関与することで、単一の酵素の活性変動は薬物の代謝消失に影響を与えないことが推察された。遺伝子多型と血漿中薬物濃度との関連については種々報告が存在するが、患者背景の複雑な実臨床において、これら薬物の代謝消失に対する単独因子の影響は考慮するにはおよばないと考えられた。一方で先行研究より、複数酵素の代謝を受ける抗うつ薬ミルタザピンは代謝酵素遺伝子多型および併用薬により、血漿中薬物濃度が変動することを明らかとしている。精神疾患治療薬の体内動態に対する各酵素の活性変動による血漿中薬物濃度への影響は、薬物毎に異なることが明らかとなった。本研究により得られた知見は精神疾患個別化治療のための基盤となり得る情報である。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(2 results)