2015 Fiscal Year Annual Research Report
好中球におけるATP放出機構の解明とその生理的意義
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15J03354
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
原田 結加 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 好中球 / VNUT / ATP |
Outline of Annual Research Achievements |
好中球の遊走には、ATPなどのヌクレオチドを情報伝達物質とするプリン作動性化学伝達が重要である。走化性因子を受容した好中球の遊走は、自らが放出するATPやその分解産物であるアデノシンによってオートクリン的に制御されていることが、受容体欠損マウスを用いた研究より明らかとなった。しかし、ATP放出機構についての研究は少ない。当研究室で機能を解明した小胞型ヌクレオチドトランスポーター(VNUT)は、ATPの小胞内蓄積や放出に関与するトランスポーターである。私は、VNUTによってATPが好中球の分泌性オルガネラに蓄積され、開口放出されているのではないかと考え、以下項目について明らかにした。 1、ヒト好中球におけるVNUTの発現を、RT-PCR法と免疫組織化学法を用いて明らかにし、二重免疫染色法によりVNUTが三次顆粒に局在していることを見いだした。 2、ヒト前骨髄球性白血病細胞株であるHL-60細胞をヒト好中球のモデル細胞として用い、VNUTの発現と機能を調べた。VNUTをRNAiにより発現抑制させると、HL-60細胞からのATP放出量が減少した。また、ATP放出がVNUT阻害剤の添加により抑制されることも見いだした。 3、マウス好中球において、ATP放出量や遊走にVNUTが関与していることも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究により、VNUTが好中球の三次顆粒に局在し、ATP放出や遊走に関与していることが明らかとなった。現在、論文を作成中であり、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
VNUTノックアウトマウスを用いて、腹腔内や肺への遊走実験を行い、個体レベルでVNUTが好中球からのATP放出や遊走に関与していることを調べる。また、当研究室が新たに発見したVNUT阻害剤が好中球に与える影響を調べる。 さらに、好中球と同様の血球系細胞であるマスト細胞においてもプリン作動性化学伝達が重要であることが近年報告されている。骨髄由来マスト細胞を用いて、VNUTの発現と機能を調べ、その生理的意義について解明する。
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Research Products
(2 results)