2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J03433
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小林 義行 九州大学, 医学系学府, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
|
Keywords | テネイシン / 血管新生 / 増殖糖尿病網膜症 / 加齢黄斑変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 網膜血管新生におけるテネイシン-C産生細胞の検討 (In vitroアッセイ系):増殖糖尿病網膜症の硝子体内で増加すると報告のあるサイトカイン(IL-6, IL-8, IL-13, MCP-1, IGF-1, TGFβ2, VEGF)を用いて血管平滑筋細胞を刺激したところ、IL-13によってテネイシン-Cの発現が有意に上昇した(qPCR, ELISA, WB)。 2. テネイシン-C中和抗体による網膜血管新生の抑制効果の検討 (In vitroアッセイ系):平滑筋細胞にIL-13を添加した条件培地を用いて血管内皮細胞を培養したところ、無刺激の血管平滑筋細胞条件培地と比べて管腔形成能が有意に上昇した。さらに、IL-13刺激血管平滑筋細胞条件培地にテネイシン-C中和抗体を添加したところ、無刺激の血管平滑筋細胞条件培地と同程度まで管腔形成能を抑制した。以上の結果から、テネイシン-C中和抗体が網膜血管新生を抑制することが示唆された。 3. テネイシン-Cノックアウトマウスを用いた脈絡膜血管新生抑制効果の検討 (In vivoアッセイ系):テネイシン-Cノックアウトマウスを用いて、滲出型加齢黄斑変性の動物モデルであるマウス脈絡膜新生血管(CNV)モデルにてCNV抑制効果を検討した。テネイシン-CノックアウトマウスのCNV体積はコントロールの野生型マウスと比較して有意に減少した。 4. テネイシン-C siRNAを用いた脈絡膜血管新生抑制効果の検討 (In vivoアッセイ系):野生型マウスのCNVモデルにテネイシン-C siRNAを硝子体注射し、CNV抑制効果を検討した。テネイシン-C siRNA硝子体注射群ではコントロールsiRNA硝子体注射群と比較して減少した。以上の結果よりテネイシン-C siRNAは滲出型加齢黄斑変性の治療薬になり得ることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
増殖糖尿病網膜症のモデル動物として汎用されている虚血誘発性網膜新生管(OIR)マウスモデルを用いてテネイシン-Cノックアウトマウスでの網膜上血管新生抑制作用を評価する予定であったが、OIRモデルで使用する生後7~17日齢のテネイシン-Cノックアウトマウスにおいて網膜血管異常を認めたため、OIRマウスモデルでの評価を行わないこととした。モデル動物としては網膜血管異常を認めない7週齢を使用するマウスCNVモデルを用い、血管新生抑制作用を評価できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.テネイシン-Cによる脈絡膜血管新生促進作用の検討(In vitroアッセイ系):培養ヒト皮膚微小血管内皮細胞(HMVEC)におけるテネイシン-Cの増殖・接着・遊走・管腔形成促進作用を検討する。テネイシン-C依存性の脈絡膜血管新生作用を明らかにする。 2.インテグリン阻害剤によるテネイシン-C誘導性脈絡膜血管新生の抑制効果の検討(In vitroアッセイ系):培養HMVECの増殖・接着・遊走・管腔形成に対するインテグリン阻害薬の抑制効果を定量し、テネイシン-C依存性の脈絡膜血管新生におけるシグナル伝達経路を明らかにする。 3.テネイシン-C siRNAの細胞増殖能の抑制効果の検討(In vitroアッセイ系):培養ヒト色素上皮(RPE)細胞にコントロールsiRNAまたはテネイシン-C siRNAを導入し、TGF-βで刺激する。培地交換の後、24時間で培地を回収し、その培地を用いてHMVECの増殖・接着・遊走・管腔形成促進作用を検討する。テネイシン-C siRNAによる脈絡膜血管新生抑制作用を明らかにする。 4.テネイシン-Cプラスチック抗体、ボナック核酸による脈絡膜血管新生抑制効果の検討(In vitroアッセイ系):マウスCNVモデルにテネイシン-Cプラスチック抗体またはボナック核酸を硝子体注射し、CNV体積を比較検討する。
|
Research Products
(3 results)