2015 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変技術を用いたフタトゲチマダニオートファジー関連分子の機能解析
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15J03477
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
川野 優 岐阜大学, 連合獣医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | マダニ / オートファジー / 遺伝子改変技術 / RNA干渉法 / 卵母細胞 / 卵形成 / TALEN |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究により、RNA 干渉法(RNAi)を用いて HlATG6 遺伝子のノックダウンを行った結果、 HlATG6 遺伝子はフタトゲチマダニの卵形成過程において重要な役割を担うことが判明している (Kawano et al., 2013)。本年度は、TALEN による HlATG6 遺伝子ノックアウトが卵母細胞の発育に与える影響を評価する系を構築する為に、第一に、フタトゲチマダニ卵母細胞の発育過程についての形態学的解析を行った。フタトゲチマダニの未吸血から産卵期における卵巣および卵母細胞の発育の組織学的な観察を行った。未吸血、緩慢吸血期、急速吸血期、飽血、飽血後 4 日目、産卵開始日、産卵後 10 日目のフタトゲチマダニより卵巣を回収し、ヘマトキシリン・エオジン染色による組織切片の観察結果を基に、卵母細胞の発育ステージの分類法を確立した。この研究成果については、 2015 年 9 月に行われた第 24 回日本ダニ学会東京大会にて発表した。また、実験室において遺伝子ノックアウト・ノックインを行うための TALEN システムを現在構築中である。 今後の研究計画は下記のように段階を踏んで行う予定である。①HlATG6 遺伝子ノックアウト用の TALEN を作製し、その活性の評価を行う。②雌成ダニに対して TALEN を導入し、ウサギに吸血させた後、RNAおよびDNAを抽出し、リアルタイム PCR 及びシークエンス解析による HlATG6 遺伝子ノックアウトの成否確認を行う。③HlATG6遺伝子ノックアウトマダニにおいて、吸血、飽血時の体重変化、産卵、孵化の様子を観察する。また、今年度に確立した卵母細胞の発育ステージ分類法に基づき、ノックアウトマダニにおける卵母細胞の発育過程について対照群との比較解析を行う。④得られた結果をまとめ論文として投稿する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現時点での研究進捗状況は、TALEN 作製が進んでおらず、特別研究員申請時の年次計画よりやや遅れている。遺伝子ノックアウト・ノックインを行うためにまずTALENシステムの構築を行わなければならないのだが、実験室にてGolden Gate TALEN and TAL effector kit を用いて利用可能なHlATG6特異的なTALENを作製するのに予想以上に時間を消費してしまい、研究計画が遅れてしまっているのが現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
TALEN 作製に時間を消費し、研究が進んでいないことは、現在までの進捗状況の項でも述べたとおりである。TALEN作製に関しては、現在利用している Golden Gate TALEN and TAL Effector kit よりも TALEN 作製の手順が容易になった Platinum Gate TALEN kit の導入を検討している。また、TALENによる遺伝子ノックアウトがうまくいかない場合は、別の遺伝子改変技術である CRISPR-Cas9 システムの導入による遺伝子ノックアウトの実施も考えている。 遺伝子ノックアウトを行った後の評価法に関しては、卵母細胞の発育ステージ分類法を確立しているので、遺伝子ノックアウト用のTALEN作製が完了すれば研究課題は一気に推進すると考える。
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Research Products
(1 results)