2017 Fiscal Year Annual Research Report
テルペノイド類の自動酸化に着目した針葉樹球果の化学的防御機構の解明
Project/Area Number |
15J03513
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
楠本 倫久 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所森林資源化学研究領域, 主任研究員
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 球果 / ジテルペン / ラブダン / 樹脂酸 / 経時変化 / 化学的防御 / スギ / トドマツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、球果に含まれる樹脂成分の化学的防御における役割の解明である。本年度は、①定量NMR法を用いたスギ球果中の樹脂酸類の経時的変化、②スギ球果の蓄積成分が加害生物に与える影響、③トドマツ球果に含まれるテルペン類の経時的変化の3点を明らかにした。 ①の結果、樹脂全体の3~4割を占める樹脂酸5成分の含有量は11月以降顕著に増加し、特に水酸基を有するインブリカトール酸は未成熟~成熟期にかけて数倍に増加した。また、主要3成分(イソピマル酸(I)、サンダラコピマル酸(S)、シスコムニン酸(C))の定量結果から、スギ球果の樹脂酸組成は少なくとも2タイプ以上に分類でき、本研究の個体群はISもしくはICタイプ(上記成分の含有量が多い順)に分類された。 ②では、含有量が増加した成分及び他の樹脂画分のチャバネアオカメムシに対する吸汁阻害活性、羽化阻害活性を評価した。その結果、本試験からは一部で羽化阻害が認められたものの有意な差は得られなかった。一方で、インブリカトール酸と主要成分の一つであるシスコムニン酸の抗菌性を比べた場合、水酸基を有する前者が2倍以上の活性を示すとの報告があることから、蓄積傾向にある成分がスギ球果の化学的防御に関わっている可能性が高いと推察した。 ③では、6~9月にかけてトドマツ精英樹3クローンから継続的に球果を採集し、成熟過程における樹脂成分の経時的変化を明らかにした。その結果、主要な樹脂酸類が成熟に伴い減少すること、生物活性成分である一部の含酸素モノ、ジテルペン類が同一クローン間で同調して増減すること、モノテルペン炭化水素の組成にクローン間で顕著な違いがあること等の新たな知見を得た。 本研究から、ヒノキ及びマツ科の球果に含まれる樹脂成分の成熟に伴う増減が明らかとなり、特徴的な挙動を示した含酸素テルペン類が化学的防御に深く関与していることが示唆された。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)