2015 Fiscal Year Annual Research Report
成人双生児の認知処理速度のペア内差異からみた認知機能の超早期発見研究
Project/Area Number |
15J03698
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾形 宗士郎 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 疫学 / 双生児 / 栄養学 / 認知機能 / 記憶 / 乳製品 / 摂食・嚥下 / うつ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、認知症・軽度認知障害に先立つ認知機能低下に影響する要因を双生児研究法によって特定し、実効ある保健指導対策の確立に資することを目的とする。双生児研究法は、遺伝・家庭環境を共有する成人双生児を対象とすることにより、通常の方法では測定困難な素因(遺伝・家庭環境を含む)の影響を除去した上で、認知機能に影響する環境要因を特定することができる有力な研究方法である。特に、食事要因、食品摂取に影響する摂食・嚥下障害、認知機能と密接に関連がある精神要因に着目した。 大阪大学大学院医学系研究科附属ツインリサーチセンターが実施する双生児検診に参加した地域在住の成人双生児ペア297ペアを対象とする横断研究を実施した。食事要因として乳製品摂取量、摂食・嚥下障害と短期記憶における関連を検討した。男性においてのみ乳製品摂取量が大きいものは有意に短期記憶が高得点であることが示され、その関連は遺伝・家庭環境要因を調整した後でも同様であった。摂食・嚥下障害を有する群は有さない群と比較して有意に短期記憶得点が低いことが示された。その関連は遺伝・家庭環境要因の調整後でも同様の傾向が示されたが、統計学的有意差は認められなかった。精神要因の検討として、うつ症状と主観的記憶愁訴における関連を検討した。うつ症状が強いものは有意に主観的記憶愁訴が強いことが示され、その関連は遺伝・家庭環境要因を調整した後でも同様であった。 乳製品摂取、摂食・嚥下障害、うつ症状の把握・改善は、遺伝・家庭環境に関わらず認知機能低下の早期発見・予防に効果的であることを示唆した。本研究の限界として対象者数が少ないこと、横断調査のため因果関係については言及できない点がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
統計解析可能な対象者数のデータが集まったため。加えて、本年度に原著論文2編を国際雑誌に受理・掲載され、2編の学会発表を実施したため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度検討していない他の要因について認知機能との関連を検討していく。例えば、食事パターン、食品群、栄養素と認知機能の関連を検討していく。
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