2015 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤特異的な遺伝子操作による妊娠高血圧症モデルの作製と病因遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
15J03876
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
武藤 真長 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 妊娠高血圧症候群 / 疾患モデルマウス / 子宮内発育不全 / 胎盤 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではCRISPR/Cas9システムを用いて、妊娠高血圧症患者(PE : Preeclampsia)で変異が知られている遺伝子(PE関連遺伝子)のノックアウト(KO)マウスを作製して表現型解析を行い、ヒト産科疾患モデルの作製を行った。
PESNPdb (Pre-eclampsia SNP database)から妊娠高血圧症患者の胎盤で変異がある遺伝子(4種類)を選定し、切断したい標的塩基配列を含むguide RNAを発現するpX330プラスミドをマウス受精卵へ注入し、遺伝子改変マウスを作製した。ヘテロ欠損マウス同士の交配実験では、産仔数及びKOマウスの出生率は正常であったが、ホモ欠損マウス同士を交配させると野生型に比して産仔数が約半数になることがわかった。また各遺伝子型のマウスを交配させて胎仔重量を測定したところ、雌のホモ欠損マウスの交配でのみ、胎仔発育が低下することが確認できた。このPE関連遺伝子は、胎盤の免疫組織染色により母体由来の脱落膜細胞に発現が確認できたことから、胎仔側だけでなく母体側の遺伝子欠損が病態を引き起こす可能性が示唆された。
さらに、CRISPR/Cas9システムではguide RNAと一本鎖オリゴDNAを同時にマウス受精卵へ注入し、点変異を導入できることから、ヒト胎盤で妊娠高血圧症の病態を呈することが示唆されているミスセンス変異マウスを作製した。今後は、点変異と病態との関係性を生体レベルで解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PE関連遺伝子KOマウスの表現型解析により胎仔発育の低下が確認できており、また、点変異を導入したマウスを作製できたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
作製したPE関連遺伝子の変異マウスの表現型解析は妊娠高血圧症候群に着目して行う。出生率や胎仔・胎盤の重量測定を行い、子宮内発育不全を検討する。また、胎仔だけでなく母体の表現型を確認するため、妊娠マウスの血圧及びタンパク尿の測定を行う。得られた胎盤や腎臓は組織病理学的解析(PAS染色法、妊娠高血圧症マーカータンパク質の免疫組織染色法)等を行い、妊娠高血圧症様の表現型を解析する。
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Research Products
(7 results)