2017 Fiscal Year Annual Research Report
歴史認識の形成に関する人類学的研究:南北エチオピア、ライヤにおける口承史比較分析
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15J03983
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
大場 千景 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 無文字社会の歴史 / 口頭伝承 / 声の文化 / 移住史 / 歴史認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、現地調査と文献研究及び、論文執筆を行った。現地調査では、エチオピア南東部において、16世紀以前に全滅したと言われているハラッラと呼ばれる民族集団がアラビア語で書き記したとされる歴史書について調査を行った。通称『ハラッラ文書』は、もともとエチオピア南東部の村落地域にあるいくつかの古いモスクに所蔵されていたものが、年月を経るうちに、個人の手に渡って密かに所有されていた。今回の調査で『ハラッラ文書』とされる皮製の文書を二点ほど発見し、記録を取った。現地のシャイフやアラビア語を専門とする文献学者とともに内容を確認したところ、古い『コラーン』とその注釈であることは分かった。文献研究においては、『皇帝年代記』やイエスズ会史料の収集とその解読作業を行った。『皇帝年代記』とは13世紀から19世紀に至るまでの間にゲエズ語で書かれた年代記であり、エチオピア北部に成立したキリスト教王国の歴代の皇帝の御世に起こった出来事を記した文書である。イエスズ会史料とは、16世紀にイエスズ会の宣教師がエチオピアを訪れた際の旅行記である。イエスズ会史料はポルトガル語、皇帝年代記はゲエズ語からドイツ語、フランス語、イタリア語等に翻訳されており、申請者は、それらの文献の中から研究対象であるオロモ語系諸集団に関する記述について調査してまとめた。これまでの成果をまとめて、二本の研究論文の執筆を行った。一つは、一昨年度から執筆してきたオロモ語系諸集団ライヤの移住史に関する論文に昨年度行った『皇帝年代記』等の文献研究の成果を反映させて完成させた論文である。二つ目は、ライヤが移住を始める16世紀以前にエチオピア北東部一帯に居住していた複数の先住民に関する歴史について考察した論文である。この二つの論文は、仕上げを行い、早晩学術雑誌に投稿する予定である。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)