2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J04023
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
塚本 敏人 立命館大学, スポーツ健康科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 認知機能 / 乳酸 / 運動 / 脳代謝 / 脳神経活動 / 脳循環 / 栄養補助 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,運動誘発性の脳神経活動および脳乳酸代謝の増加が認知機能を亢進させるという仮説を明らかにすることである.この仮説を明らかにすることで,本研究の終着点である,認知機能亢進のための運動・栄養処方の開発基盤を構築することが期待できる.そのため,本年度では,認知機能亢進のための運動・栄養補助プログラムの探索を,現象論ベースの検討を中心に,以下に示す研究活動を展開した. 1.従来,認知機能を亢進させるために効果的な運動処方とされてきた中強度定常運動と比較して,高強度運動を間断的に繰り返し実施する高強度間欠的運動を実施した方が,運動後の認知機能の亢進がより長い時間持続することを明らかにした.2.この高強度間欠的運動後の認知機能亢進の持続性には,運動による乳酸産生量が重要な役割を担っている可能性があることを示した.3.運動によって亢進する認知機能を,より効果的に持続させるためには,一定の高い運動仕事量が必要となることを明らかにした.特に,仕事量(運動強度×実施時間)を構成する運動強度は,認知機能亢進のためにとても重要な役割を担っている可能性があることも明らかとした. 4.運動前に,高濃度のココアフラバノールが含まれたココア飲料を摂取することで,低濃度のココアフラバノールが含まれたココア飲料を摂取した条件と比較して,運動による認知機能の亢進を相加的に高める可能性が示された. 5.コペンハーゲン大学の循環・代謝の研究で世界的に著名な研究グループと共同で,脳での乳酸取り込みなどの脳内代謝動態を直接的に測定する方法(上腕動脈内頸静脈格差)により,脳代謝動態と認知機能の関係性を検討した. また,所属機関(立命館大学)における研究倫理教育を受けた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り,認知機能亢進のための運動・栄養補助プログラムの探索を,現象論ベースの検討を中心に研究活動を展開できた. 本研究により,運動誘発性の乳酸産生量が,運動によって亢進した認知機能の持続性に関与している可能性が明らかとなった. さらに,2年目で計画していた脳代謝動態の測定も実施し,現在解析中の段階にある. したがって,概ね順調に研究が遂行できていると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,運動によって変化する脳代謝動態(グルコースや乳酸等)と認知機能の関係性を構築する.さらに,MR装置を用いて,運動後の局所的な脳神経活動の活性化および脳代謝動態の検討も試みる. また,繰り返しの運動前に,エネルギー源(特に乳酸)を補給すると,認知機能の回復がみられるのか検討する. これらによって,認知機能亢進のための運動・栄養処方の急性的な応答を検討し,開発基盤を構築することで,3年目では慢性的な応答の検討を目指す. これまでの研究成果について,学術論文として公表する.
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Research Products
(12 results)
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[Presentation] Dynamic carotid baroreflex function at the onset of leg cycling.2016
Author(s)
Barbosa T, Vianna L, Hashimoto T, Petersen L, Olesen N, Tsukamoto H , Sorensen H, Ogoh S, Nobrega A, Secher N.
Organizer
Experimental biology 2016
Place of Presentation
SanDiego, California USA
Year and Date
2016-04-03
Int'l Joint Research
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