2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J04088
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
古川 琢磨 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | FSKモデル / ふく射効果 / 乱流自然対流 / ガスふく射 / 表面ふく射 |
Outline of Annual Research Achievements |
大規模自然対流を定量的に評価する時,ガスふく射を定量的に評価する必要性がある.ガスふく射を定量的に評価する時,ガスを灰色ガスではなく波長依存性を持つ非灰色ガスとして取り扱わなければならない.ガスを非灰色ガスとして取り扱うには,波長ごとにふく射輸送方程式を分割しなければならない.そのため,非灰色ガスのふく射・対流連成計算では計算コストが極端に増大するという問題点を有している.この問題点を解決するために本研究では,累積密度関数を使用することで波長分割数を飛躍的に節約するフルスペクトルモデルに着目した.本研究ではフルスペクトルモデルの一種であるFull spectrum correlated k-distribution モデルを構築したふく射・対流連成計算プログラムに組み込みを行った. FSKモデルの組み込みを行ったふく射・対流連成解析プログラムを使用して,キャビティ内部に生じる乱流自然対流の数値解析を行った.解析ではガスふく射と表面ふく射の効果を切り分けるために,周囲壁の放射率とガスふく射条件を変化させて解析を行った.解析の結果,ガス・表面ふく射の両効果が対流場の流動不安定性に顕著に影響を及し,内部の対流循環を促進することが明らかとなった.またガスふく射と比較して表面ふく射が縦渦や馬蹄形渦生成をさらに促進化させることが明らかとなった.加熱壁付近で生成される境界層において乱流統計量を用いて評価し,表面ふく射が加熱壁付近で形成されるレイノルズ応力に強く影響を及ぼすことが明らかとなった.内部の伝熱特性を対流・ふく射伝熱を切り分けて定量的に評価し,表面ふく射が内部のふく射伝熱効果に対して支配的な因子であることが明らかとなった.またふく射効果は対流場の流動不安定性には顕著に影響を及ぼすものの対流伝熱にはほとんど影響しないことが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ふく射効果が大規模自然対流に及ぼす影響を定量的に評価する時,ガスふく射効果を精密に取り扱う必要がある.今年度はガスふく射を正確に計算するFSKモデルを連成解析プログラムに組み込むことができ,ガスふく射効果が乱流自然対流伝熱特性に及ぼす影響を議論することができた.またふく射グリッドの依存性やガス濃度増減による影響も評価することができた.また表面ふく射とガスふく射の両効果を取り入れた複合ふく射計算も連成することができ,初年度に設定した研究目的はおおむね達成できたと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
ガスふく射効果が内部の対流循環を促進することが数値解析によって明らかとなっており,今後は実験的にも本現象を明らかにしていく予定である.実験ではキャビティ内部にふく射を吸収しやすいガスを充填させ,ガスふく射によって促進される水平方向の速度変動や鉛直方向の温度分布変化を観測することを予定している.平行平板の乱流自然対流のふく射・連成計算も行い,各平板から発達する境界層がガスふく射によってどのように変動し,伝熱特性に影響を及ぼすのか評価していく予定である.また非灰色ガスの量と壁のふく射条件を変化させていくことでガス・表面ふく射の効果が伝熱特性に影響する度合いを定量的に評価していく予定である.ガス・表面ふく射の影響をそれぞれ変化させる時には,H2O,CO2濃度の割合と壁の放射率成分,拡散成分を変化させていく予定である.
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Research Products
(3 results)