2015 Fiscal Year Annual Research Report
太陽熱とコージェネレーションの排熱を利用した空調システムに関する研究
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15J04304
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鵜飼 真貴子 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | CGS / 太陽熱 / デシカント空調機 / 潜熱顕熱分離空調 / 排熱投入型吸収冷温水機 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は対象建物に適用された太陽熱とコージェネレーションシステム(CGS)を組み合わせた空調システムの運用実測解析及び実運用の機器特性を反映した各機器モデルの構築、更にトータルエネルギーシステムの構築とその再現性の確認を行った。 まず実測においては、空気の挙動変動が大きいデシカント空調機の分析を行い、運用における課題点を抽出した。外気負荷と室負荷の潜熱を処理するデシカント空調機に比較的高温である20度程度の井水を利用するには、その利用先を顕熱のみを処理するアフターコイルのみに限定することで井水の利用促進を図り、潜熱の未処理を防ぐという結果を得た。さらに、デシカント空調機自体の性能向上を図るため、実特性を再現したシミュレーションを用いて感度解析を行った。除湿ローターと予冷コイルで潜熱を処理する場合には、潜熱を両者で処理する分担割合がデシカント空調機の性能や給気湿度に影響を与えるという結果を得た。これらの実測とシミュレーションによる最適運用の提案は、対象システムに限らず、デシカント空調機を採用している他システムにも応用可能であり、更に設計段階にあるシステムに対しても設計指針の方向性を示すことができた。 トータルエネルギーシステムのシミュレーションにおいては、モデルの構築とその再現性の確認を行った。各機器及び全体システムのモデルは、実測の空気状態及びエネルギー消費量、処理熱量を十分精度よく再現しており、本モデルが対象システムの最適運用提案に適用可能であると判断した。各システムの制御ロジック(CGSの還温度制御等)については、既存のシミュレーションツールに対して新しく開発するなど、今後他システムでも利用可能な制御モデルとなっている。今後は、このモデルを用いてトータルエネルギーシステムの運用条件による最適運用提案を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画では実測とシミュレーションに大別して研究内容を述べたが、両者ともに着実に研究成果の蓄積がなされており、査読論文の掲載、各学会での論文発表や国際学会でも研究内容の発表を行ってきた。 実測については、デシカント空調機の空気状態の推移、性能評価、及び運用方法の改善案を中心とした論文を日本建築学会技術報告集(査読付)に掲載された。 シミュレーションについては、デシカント空調機単体のシミュレーション、トータルエネルギーシステムのシミュレーションについて、日本建築学会大会、空気調和・衛生工学会大会、The 4th International Conference on Microgeneration and related technologies (Microgen Ⅳ)に投稿・発表を行った。またトータルエネルギーシステムの運用条件によるケーススタディを順次行っており、進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究は、シミュレーションによる運用改善提案や設計・運用段階の指針提案が主要課題である。シミュレーションツールとして、昨年度から利用しているLCEMツール(国土交通省官庁営繕部が公開)を用いる。 研究成果の知見を設計時に適用するためには、設備設計がどのようになされているのか等の実態を把握する必要がある。したがって設計者に設備設計時の進め方など実務の現状を聞き取り、本研究で得られた知見を適用できる箇所を抽出する。更に運用実測評価やシミュレーション結果から排熱や太陽熱を利用する空調システムの運用条件に留意すべき項目や適用可能な項目の整理を行っていく。この時、運用管理者に対して適切に設計意図が継承されるかという点も重要であるため、情報共有等の方法についても検討を行う予定である。運用実測の評価・分析及び運用条件や設計条件をパラメータにしたシミュレーションによる知見は、高効率で脱炭素、かつ快適な室空間を提供するために必要であり、実運用に即した設計方法や運用方法の指針を整理する。 また、対象建物の実測は継続して行われているため、本年度も各システムの評価を行い、それらの経年変化を把握する予定である。
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Research Products
(4 results)