2015 Fiscal Year Annual Research Report
オスマン朝期におけるスーフィズムの展開―ナーブルスィーの存在一性論を中心として―
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15J04355
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 直輝 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | オスマン朝 / スーフィズム / イスラーム改革 / トルコ / アラブ / イブン・アラビー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、いままでの研究成果の発表と、博士論文執筆に向けた資料収集を中心に行った。博士予備論文(修士論文に相当)で扱ったオスマン朝アナトリアのイスラーム改革思想家ビルギヴィーについて、日本中東学会やトルコの国際学会等で発表した。従来の研究では反スーフィズムの思想家として捉えられてきたビルギヴィーだが、本研究者の研究成果では彼は倫理的スーフィズムに立脚したイスラーム改革を志向した思想家であることが明らかにされた。またインドネシアで催されたal-jamiah国際学会ではパネルの企画及び成果としての図書の編集を行うなど研究実務も行いながら、修士論文を発展させたものを学術論文として発表した。 また7月30日から9月8日にわたってトルコのイスタンブルに滞在し、スレイマニエ図書館を訪れナーブルスィーの写本資料を収集し、今後の博士論文執筆に向けて一次資料の充実を図った。10月に開かれた日本オリエント学会ではスレイマニエ図書館で入手した写本を用いナーブルスィーの存在一性論と神学の照応関係について発表を行い、現在論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は博士予備論(修士論文)の成果発表を日本の学会のみならず、トルコ、インドネシアなど海外の国際学会の場でも積極的に行い、フィードバックを得ることで今後の博士論文執筆のための重要な知見を得ることもできた。またイスタンブルではスレイマニエ図書館で資料を収集し、今後の博士論文に向けての資料を充実させることができた。インドネシアで開催した国際学会では、パネルの企画及び成果としての図書の編纂など研究実務も積極的に行いながら、修士論文を発展させた論考を成果報告の学術論文として発表した。博士論文執筆に向けても、既にオリエント学会等で博士論文の内容の一部となるテーマを発表するなど、研究成果の発表と今後の研究のための準備作業共にバランスよく行うことができ、総じて研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、博士論文に向けて引き続き資料収集を行うほか、博士論文の執筆にとりかかる。まず博士論文の研究対象であるナーブルスィーの思想を多角的に分析するために、彼の論争相手となったオスマン朝アラブの思想家イブラーヒーム・クーラーニーに焦点を当てる。インドネシアのジャカルタに渡航しクーラーニーの専門家である国立イスラーム大学文学部教授Oman Fathurrahman教授を面談し、博士論文の構想について指導を受ける他、国立イスラーム大学図書館等で資料収集を行う。またトルコのイスタンブルにあるスレイマニエ図書館を訪問し、ナーブルスィーの写本資料を引き続き収集しながら、オスマン朝スーフィズムの専門家であるファーティヒ・スルタン・メフメト大学Recep Senturk教授より博士論文構想について指導を受ける。 また8月31日までに去年オリエント学会で発表したナーブルスィーの存在一性論と神学に関する論考を『欧文Orient』への投稿することを目指しながら、引き続き博士論文の執筆にはげむ。
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Research Products
(7 results)