2015 Fiscal Year Annual Research Report
分極イオンモデルによるイオン性物質の構造と輸送的性質のシミュレーション研究
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15J04359
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
石井 良樹 新潟大学, 自然科学系, 特別研究員(DC2) (20806939)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 分子動力学 / 密度汎関数法 / 第一原理計算 / 酸化物材料 / ケイ酸ガラス |
Outline of Annual Research Achievements |
溶融アルカリ土類ハロゲン化物の分極イオンモデルを、第一原理計算を用いて構築し、その輸送挙動を評価した。輸送係数は実験値を良く再現しており、超イオン電導相の発現も確認することができた。これによりアルカリハロゲン化物との違いを反映することができた。またアルミノケイ酸ナトリウム融体では、イオンの分極効果だけでなく、変形効果も考慮して相互作用モデルを構築した。これにより得られた力と双極子モーメントは、第一原理計算の結果と非常に良い一致を示しており、溶融塩系と同等の性能を得ることができた。ガラス状態まで温度を下げても、ケイ素イオンやアルミニウムイオンはガラス特有の4配位構造を形成した。その静的構造因子や17O MQMAS-NMRスペクトル、架橋酸素種の分布も、組成に因らずに実験値と良い一致を示していることから、本研究で構築した相互作用モデルは高い転用可能性をもつことが分かった。そこで強化ガラスの材料であるアルミノケイ酸ナトリウムガラスの架橋構造の特性を調べるため、結合するカチオンの異なる架橋酸素ごとに、架橋結合の角度分布や双極子モーメント、ナトリウムイオンの配位数をそれぞれ評価した。するとAl-O-Alの架橋酸素の双極子モーメントだけがSi-O-SiやSi-O-Alに比べて有意に小さく、その架橋結合の角度もより広く分布していることが分かった。したがって、アルミノケイ酸ナトリウムガラスの架橋酸素の中でも、Al-O-Alの結合強度は他の架橋酸素に比べて有意に弱いことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで溶融塩系ではアルカリハロゲン化物とアルカリ土類ハロゲン化物、酸化物ガラス系ではアルカリおよびアルカリ土類イオンを含むアルミノケイ酸ガラスの分極イオンモデルを構築してきた。このモデルを用いた溶融塩の輸送挙動の評価は、すべての単塩系で順調に進行しており、実験値との比較もおおむね完了した。混合溶融塩への拡張はまだほとんど進んでいないが、その一方で酸化物ガラス系では強化ガラスの材料であるアルミノケイ酸ナトリウムガラスとその融体のMD計算をおおむね完了した。その静的構造因子や架橋構造、NMRスペクトルの解析も終えており、アルミノケイ酸塩ガラスの架橋構造における微視的知見も導出することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず溶融アルカリ土類ハロゲン化物の輸送挙動を評価し、アルカリハロゲン化物との比較をするとともに、超イオン電導相の発現の有無が熱伝導や電気伝導に与える影響について調べる。そして酸化物ガラスと似た架橋構造を形成するBeF2をベースとする溶融塩の構造と物性を評価し、アルカリイオンの違いが架橋構造の破壊と物性に及ぼす影響について調べる。酸化物ガラス系では、ケイ酸塩ガラスおよびアルミノケイ酸塩ガラスとその融体の構造と物性を評価し、ガラス構造への冷却過程で生じる架橋構造の変化と、各架橋酸素の強度を調べる。またアルカリイオンとアルカリ土類イオンの添加によって壊れる架橋構造を定量的に比較し、その架橋破壊の役割の差を明らかにする。またアルカリイオンについては、大きさの異なるイオンとの交換が架橋酸素とその周囲の構造に与える影響を評価し、架橋酸素の結合強度を向上させる要因を明らかにする。
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Research Products
(13 results)