2015 Fiscal Year Annual Research Report
都市化に伴う経験の絶滅スパイラル:そのメカニズムと適応策の解明
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15J04422
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
曽我 昌史 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 経験の消失 / 自然体験 / 都市化 / 環境保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
急速な都市化や娯楽の変化に伴い、我々が自然と接する機会は減少の一途を辿っている。こうした自然と接する「経験の絶滅:Extinction of experience」(自然離れ)は、英国や米国、中国など多くの先進国でも報告されており、健康や文化、教育等の面から大きな社会問題としてまた環境破壊に歯止めをかける上での根本的な障害のひとつとして認識されている。しかしながら、経験の消失が起きる背景やその長期的な影響等ははっきりと分かっていない。
初年度にあたるH27年度は、当該研究テーマ(経験の絶滅)に関わる総説論文(レビュー)の執筆と、小学生を対象としたアンケート調査を実施した。総説論文では、環境心理、公衆衛生、保全生態学など多岐にわたる学術分野の研究報告を体系化し、自然と接する「経験の絶滅」が社会にもたらす影響やその原因等を整理した。その結果、(1)現在、多くの国で経験の絶滅が進んでいること、(2)経験の絶滅は人々の健康や生活の質を害するだけではなく、自然に対する興味や関心、保全意識を大きく衰退させること、(3)経験の絶滅には負の連鎖が存在し、現状のままでは社会の自然離れが今後もより一層と進んでいく恐れがあることが示された。
アンケート調査では、東京都府中市の小学生を対象として、子供の自然体験頻度が生物多様性に対する親近感・保全意識に及ぼす影響を調べた。調査の結果、子供達の生物多様性に対する親近感・保全意識は、自然体験頻度と正の関係であった。パス解析を行った結果、子供の自然体験が生物多様性保全意識に及ぼす影響は親近感を介することが示された。このことから、日常生活で頻繁に自然と触れ合う子供は地域の生物多様性に対して強い愛着心を持ち、結果としてそれらを守る意思が強くなることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
年度内に当初予定していたアンケート調査、データ解析、論文執筆を行い、また本研究テーマに関する総説論文を発表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、調査規模を拡大し、今年度に得られた結果の一般性を確かめる。さらに、今年度発表した総説論文の続編となる新たな論文を書き上げる。
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Research Products
(8 results)